エピソード123
食事を終えると一行は席を立った。
ゆ「なんか面倒くさい街だけど、推理小説でも読むつもりで情報を集めたほうがいいかも?」
ア「そうだな。きな臭い匂いもするし」
な「わたし、寝ててもいーい?(汗)」
しかし、眠気はすぐに醒めるのだった。
路地を抜けきる手前、酒樽の陰に、なんと男が倒れている!冒険者のような格好をしている。
ア「大丈夫か!」アミンたちは駆け寄った。
男「はっ!気を失っていたようだ」
ゆ「どうしたんですか?」
男「えぇっと・・・
向こうの太陽堂とかいう道具屋のせがれとちょっと押し問答してね。なんかガメついんだよ。
サギだから金返せって悶着して、カネは返してもらえたんだけどさ。
『おまえなんか呪ってやるぞ!』とか言われてさ。
無視して歩いてたんだが、ここで急に後頭部を殴られたような衝撃を受けて・・・」
ア「殴打された痕があるぞ、実際」
な「《ホイミ》!」冒険者の傷が回復した!
男「す、すまない」
見知らぬ冒険者は宿でしばらく休息するとのことだった。
一行はなおも歩く。
するとある一軒の雑貨屋めいた店が、ひと際声を張り上げていた。
店「らっしゃいらっしゃい!
上等な太陽の石板ならウチでお求めあれ~!」
ア「雑貨屋?それにちゃ奇妙な品揃えだな」
何やら文字や記号のたくさん刻まれた、石板がたくさん並んでいる。
他にも野草の干したものや、何かの動物の干からびたもの、魔導書めいたもの・・・
キ「魔道具屋、かしらね」
な「楽しそうー!」
ゆ「楽しそうだけど、それ以上に気色悪いわ(汗)」
一行は店の前に立つ。そして石板を手にとって眺めた。
店「いやぁお目が高い!太陽の石板を求めてコスタールまで?」
ア「これが太陽の石板ってやつなの?」
店「いかにも!なんだ、知らないのか」
ア「ここは魔道具屋なんだね?
何か魔法の威力をアップさせるようなちょっとした掘り出し物とか、ないのかな?」
店「いやいや、魔法に興味があるなら有無を言わさずコレだろう!
太陽の石板に勝る勝利の女神はないよ!いや勝利の英雄だ」
ゆ「英雄?この石板、ひょっとしてテパネカとかって英雄に関連があるの?」
店「うーむ!真相を知らぬ余所者に話してもよいものか・・・
あんたら、絶対に口外しないと誓えるかね?」
ア「あぁ。どうせ子供じみた僕らの発言に影響力なんてないよ」
店「この太陽の石板には、魔法のチカラがある。
なんと、戦いの神を召喚してしまうシロモノだ!」
4人「召喚!?」
店「あぁ。
これはね、テパネカ様が年老いて、死の間際になったときだ。
なんか部屋にこもって夢中でこの石板を彫ったそうだ。英雄の最後の遺品だな」
ア「それで?」
店「民は最初、これが何なのかわからなかった。まぁ暦のようなものだろうと思った。
しかし・・・
あるとき、部外者から侵略を受けた当代の王が、この石板を抱きしめながら英雄テパネカに助けを求めた。
するとだ!
王の間にテパネカ様が現れて、侵略者たちを一網打尽にしたという!!」
ア「そんなの迷信だろう!世界中に幾つもあるよ」
店「そうだと思うだろ?
でも違うんだよ。
この石板に強く念じた者は、それ以降何百人も何千人も、テパネカ様のお力で復讐に成功している!」
キ「まぁあり得ない話じゃないわ。召喚っていうのは」
ゆ「それにしたって、これはレプリカでしょう?」
店「レプリカだがね。それでも効果があるんだ」
ア「ははーん。そっからはレプリカを売りつけるためのマユツバってわけだな」
店「マユツバなんかじゃないってば!」
ゆ「でもさっきの冒険者に復讐したの、街の無名な道具屋さんでしょう?
道具屋さんが本物の所持者だっていうのも・・・」
キ「色々な可能性が、考えられはするわね」
な「わたしが眠いのも、テパテパののろい??」
街を徘徊していると、やたらと町民とトラブルになる。
そして彼らの多くは、「英雄テパネカが守ってくれるから何したっていいのさ!」と開き直ったように言うのだった。