エピソード41『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
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- 2024年5月2日
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更新日:7月9日
エピソード41
夜は酒場に出て、情報収集に励んだ。なにしろカルベローナのことは何も知らない。
町人たちの話によると、北東の方角には大きな街があるという。まずはそこだろう。目的地の目処は立った。
キキは妖精の女王だとバレていないが、しかし目立った。キキがいなかろうと目立つパーティであるようだった。それもそうだ。子供が4人で歩いているようなものだ。
するとあちこちから声を掛けられ、「何してるんだ?」とか「アメちゃんをやる」だとか、会話に忙しい。
しかし人とのコミュニケーションが好きなななは、それが結構面白いのだった。女一人で男たちから話しかけられるのは怖いが、今は仲間がいる。
ゆなとアミンは、酒臭い男たちの口の中に次から次へと、煎じたミントの葉を突っ込んでいった。
キ「さぁ、出発しんこーぉ♪」
キキが最も、楽しそうであった。
何のために旅しているのか、もはや一行はよくわからなかったが、まぁそれでもよいのだろう。
ゆ「そういえばさぁキキちゃん?」ユナはキキに話しかける。
キ「なぁに?」
ゆ「ポワン様、だっけ?砂漠の里にいたエルフの偉い人。
あの人って、すごい人なんじゃないの?私、ちょっと話しただけなんだけどすごく尊敬しちゃった!・・・なんていうか、それなのにお城の女王様じゃないの?」
キ「私よりもポワン様のほうが女王に相応しいって!?」
ゆ「あ、ごめんなさい!」
な「キキちゃんのほうがお姫様っぽいよーぉ♡」
キ「うふふふいいのよ♪ゆな、あなたの推測は正解!」
ゆ「え?」
キ「ポワン様はめちゃくちゃスゴイ人よ♡私あの人だーぃすき♡」
ア「大好きとか姫っぽいとかそういう問題じゃないだろ?」
キ「そうね♪ポワン様ってスゴイ人なの!
ただもう高齢で、それに疲れちゃったから隠居に入ったってだけよ。それで私が城の女王になって、ポワン様は砂漠の里からエルフの民を見守っているの。
私が好き放題やってるのは、ポワン様が後ろにいてくれるからよ(笑)」
ア「いいのかよ、それで?」
ゆ「アミンはアミンでキキちゃんにずいぶんずけずけ言うわよね・・・(汗)」
キ「いいのよ♪ポワン様がイイって言ったの。私を女王に任命したのもポワン様だし、これまでと違う女王象を試していいって、許可を貰ってるの♪そのほうがエルフも成長するかも?って」
ゆ「器の広い人なのかしら」

ア「それで、具体的に何がすごいの?」
キ「ポワン様は、ずーっとエルフの女王様をやってきた人なの。
地球の歴史と同じくらい長く、よ。地球は、地殻変動とかなんとかで色々様変わりしてきたけど、『花と緑の茂る美しい星』っていう特徴だけは絶やしてはいけない宿命なの。それを守ってきたのがポワン様!」
ア「あの人何十億歳なの!?」
な・ゆ「えぇーーーーー!!??」
キ「きゃははは!そんなにお婆ちゃんじゃないわよ!今の体は1000歳ぐらい?」
な「それでもお婆ちゃんーーーーー!!!!」
ア「意味がわからないぞ?地球は50億年とかじゃないのか?」
キ「そうね。1000年とか800年とかエルフの女王をやって死んだら、ポワン様はまたすぐ生まれてくるの。彼女が高齢になったら次のエルフが女王をやるわ。でもそのエルフは上手に長をやれないかも?そしたらエルフもお花も途絶えてしまう・・・。それを防ぐために、ポワン様はすぐ生まれてくるの。立派な精神の人だから、何回生まれたって立派な15歳になるのよ!15歳にもなったらもう長を務められる器になっちゃうの!でも待機。
他のエルフが女王のお役目を頑張るところを、見守っているの。もしダメならすぐ交代。そして、他のエルフがちゃんと女王を出来たとしても、その次の女王はまたポワン様が務めるの。2人に1人は絶対にポワン様が女王をやるの。だからエルフは絶対に、朽ちないわ」
な「なんかすごぉーーい!!!」
キ「スゴいのよ!よくわかんないかもしれないけど♡こんなに信頼されてる魂って他にいないんじゃない?」
ゆ「キキちゃんよりもすごいってことなの?」
キ「安定感とか、民からの信頼感って面ではポワン様のほうが上ね!
戦ったら、私のほうが強いわ。あと笑顔がかわいいのは私ーぃ♡」
な「戦うの?エルフちゃんたちも」
ゆ「武器があったわ。エルフの里には」
ア「兵士もいたな。城の手前に」
キ「エルフは戦うことを嫌うわ。でも少しは体も鍛えなさいね、って教育される。教育されるけど、戦うことも鍛えることも嫌うわ。人間に怯えすぎるのは弱いからよ。
ポワン様もかなり強いけど、私のほうが強くなることに好奇心持っちゃったのよね♡それに冒険好きだわ。
ポワン様も昔の昔には勇者の魔王退治に着いていったことあるのよ?そのときはセニカって名前だったかなぁ」

な・ゆ「すごぉーーーー!!!」
ゆ「そこまでやるの?」
キ「だからスゴいのよポワン様は♡
でもエルフは普通はそこまではやらないわね。ちょっと勇者の旅に付き添うこともあるけど、でも《ホイミ》や《ギラ》や《マヌーサ》でちょっとお助けする程度よ。レベル10ってとこね」
ゆ「勇者に妖精が手助けすることがあるんだ!」
キ「魔王の城まで着いていっちゃうような猛者は、もっぱらドワーフよ。アミンの親戚たち」
ア「そうだよ。幾つか英雄伝を聞いたことある」
キ「エルフは怖がりの泣き虫。でもドワーフは体を張って地球を守り、妖精を守ってきたわ。だから私たち、ドワーフへの敬意は忘れないの♡」
ア「ドワーフも保守的なヤツばっかりだよ?」
キ「そうだけど、勇敢な戦士もいっぱいいたわ」
な「キキちゃんそれ何っていうアニメ?」
ゆ「アニメの話じゃないわよ!」
―オラクルベリー―
2日の野宿を挟んで、一行はカルベローナ領の商業都市オラクルベリーに辿り着いた。
ゆ「うわー、やかましいところねぇ」
トルッカも賑わっていると感じたが、さらに輪をかけて賑わっているのだった。
いや、ななやゆなが暮らしていた街と人口密度は大差ない。しかしドワーフの里ばかり転々としてきた旅の始まりをベースに考えると、オラクルベリーはすさまじい大都会に思えた。
なにしろ商業都市である。世界各地から商人やその他の人々が行き交っているようだった。
人の姿だけでなく、馬車の姿が目についた。遠くから往来するだけでなく、荷物を、商品を運んで旅する者が多いのだ。現代都会に住むななやゆなにとって、馬車というのは新鮮で、そして風情があった。
ゆ「なんか中世ヨーロッパみたいー♪」
ア「そうだな。遠くまで旅するなら、馬車とかあったほうがいいんじゃないのか?」
な「買えるの?馬車って」
キ「そりゃチョコレートを売る店もあれば、馬車を売る店もあるわよ」
ゆ「でも高そう(汗)」
ア「そうなんだよ。平地に魔物があんまり出ないのはありがたいんだけど、するとお金があんまり貯まらないんだよね。寝泊まりするには困らないけど、次に立派な武器を買えるのはいつだ?ってカンジ」
な「ポワン様に武器もらえてよかったねぇ」
ゆ「あの報酬って、想像以上に価値があったのかも!」
ア「どうする?どっか森や洞窟を探しにいく?」
キ「ちょっと待って!
あなたたちは、この旅で何がしたいの?
魔物をいっぱいやっつけたいの?
ムキムキに強くなりたいの?
それとも色んな世界を見たいの?」
な「戦うことに、あんまり興味ないなぁ(汗)」
ゆ「成長したいって思いはあるけど、ムキムキになりたいわけじゃないわ」
ア「僕は、世界を色々見たいんだ!」
キ「じゃぁ無暗に戦う必要もないわね。
お金を稼ぐ方法なら、魔物退治だけじゃないんじゃない?」
な「え、他にもあるの?」
キ「これだけ人がいて店があるなら、なおさら、ね♪」
ゆ「そうか、この国にだってアルバイトがあるはず!」
まずは色々と、偵察が必要だ。一行はそう感じた。
にぎわう街をキョロキョロと歩く。生活雑貨から舶来調度品まで、様々なものが売られ、それを物色する人々がいる。見たこともない食べ物の露店があり、嗅いだことのない匂いが漂う。良い匂いばかりではない。しかしそれが「旅の匂い」なのかな、とも感じるのだった。
街のはずれには、なんと馬車を売る店もあった。値段を偵察してみると、5000ゴールド程度であるようだった。馬も付いてくる。
稼げない額ではなさそうだぞ!一行は俄然興味が湧いた。
ゆ「ななはバイトしたことあるんだっけ?」
な「ないよぉまだ中3だもん!
だからちょっとドキドキしちゃうなぁ。怒られたりしないかなぁ?」
キ「だったら、やってみたかったお仕事を選ぶのがイイんじゃない♪」
な「やってみたかったお仕事かぁ・・・
キキちゃんみたいにスイーツ作りしたいなぁ♪」
キ「そう!そういうふうに選んだらいいわ♪」
ゆ「私はどうしようかなぁ~」
街を歩いていると、どうも飾り付けをした店や通りが多い。
年越しを祝う祝日の期間なのだと、街の人が言っていた。だからいつも以上に人通りが増え、そして浮かれているのだ。
な「わたしたちの国で言う、クリスマスやお正月かぁ。
みんなが休んでるときに働くなんて、なんかミジメな気もするなぁ(涙)」
キ「そう?私は真逆の考え方するけど♪」
な「え?」
キ「みんなが休むホリデーって、お給料が上がったりするのよね!
その間に働いたらお得じゃない♪」
な「そっかぁー!」
人手不足になりがちだから、勝手のわからぬ異国人だって雇ってくれるかもしれない。