エピソード8
私は、
マイクロ一眼を持つようになってから、
ケータイ写真を撮るときの切り口も、変わってきた。
ギャルだった頃の私は、
とにかく、人物ばっかり、撮っていた。
コンデジを買ってもらったときも、
人物ばっかり、撮っていた。
同じような写真ばかり、懲りずに撮っていた。
「タッチでお化粧機能」
みたいなのに、夢中になっていた(笑)
時々、観光名所などに行くと、
やっぱり、人が写るスナップ写真ばかり、撮っていた。
雷門を撮るなら、雷門の前に、私か友人が写っていた。
それか、
雷門の全景が、きっちり収まるような、平凡な写真ばかり。
それで満足だったし、
それ以外の発想が、アタマに無かった。
けれど、
マイクロ一眼を持つようになってから、切り口が変わった。
まず、ギャル仲間のピース写真など、さっぱり興味がなくなった。
もう、それはお腹いっぱいだった。
観光名所に行っても、
全景がきっちり収まるような写真は、1枚か2枚で、終了。
それが済んだら、あっちこっちに近づいてみるようになった。
たとえば、
ファインダーを覗いたまま、巨大ちょうちんに近づいてみる。
ちょうちんばっかり、色んなアングルから、撮ってみる。
デジカメのデータなんて、すぐに削除できるから、
失敗も気にせず、バシバシ撮る。
そのうち、
朱色のじゃばらの部分が、どアップになったような画に、行き着く。
第三者が見たら、
これが何なのか、さっぱり見当が付かないような…
でも、そういう写真こそが、「アート」だったりする!
私は、美しい写真を撮ろうとするよりも、
わけのわからないアングルを、バシバシ切り取るようになった。
…そういう写真を撮ってるうちに、
結果的に、美しい写真も、撮れている。
でも、王道的な美しさというよりも、
おくゆかしい美しさというか、なんというか…
とにかく、「アートなカンジ」になった。
『ギャル進化論』