エピローグ 『「おとぎの国」の歩き方』
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- 2023年3月4日
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昔、ある国の心理学者が、
老いぼれ爺さん婆さんに、統計調査をしたらしいよ。
「アンタは死ぬのが怖いか?」ってね。
すると、すごくシンプルな結果が出たんだ。
旅をしたことのあるアクティブな老人は、「怖くない」って答えるけど、
旅をしたことのない臆病な老人は、「怖い」って答えるんだよ。
これは、もっともなハナシなのさ。
死ってのは、旅立ちだからね。
住み慣れた町を離れて、誰にも頼らず、ヒッチハイカーやるんだ。
観光地なんておよそ三途の川くらいしかナイんだけど、
とにかく、死ってのは旅と同じようなモンなのさ。
「怖くない」って答えられる理由は、もう1つあるよ。
それは、「思い残すことはない」っていう意味さ。
旅をしたっていうことは、
子供の頃から憧れてやまなかったあの街やその城を、見てきたってことさ。
やりたいことが、叶えてあるんだ。
やりたいことが叶った人は、「いつ死んでもかまわない」って思える。
やりたいことを叶えていない人は、まだ死にたくないんだよ。
だから、死ぬのが怖いと感じちゃう。死んだらモンサンミッシェル見れないんだからさ。
するとさ?
君が「おとぎの国」に行きたいっていうんなら、
色んな意味において、「旅の経験」っていうのが、不可欠なのさ。
「死ぬのなんて怖くないよ」って思えるようになっとかなきゃならない。
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この物語はフィクションです。
ビハーリー、アジナ村、カメレオン村は実在しません。
コルカタの描写については、だいたい事実だけどね(笑)
寝台列車での出来事も、ね。
2016/01/12 完筆
『「おとぎの国」の歩き方』