episode28 『王と悟り』
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episode28

ザっ、ザっ、ザっ、バキ!小枝を踏みつけてしまうと、大きな音が響く。
ソロの訪れに気付いた者がいた。里の老婆だ。
婆「どなたかな?
ここは殿方の訪問をあまり歓迎しない町。場合によってはお帰り願うが」
上品に、排他的だ。
ソ「カルベローナの、町ですか?」
婆「町の名を知っていて、殿方の拒絶を知らぬか。
どんな御用だろうか」
ソ「マーディラスで、この町出身という人に出会いました。
魔法学校と、彼女の家が無残に焼け落ちてしまったと聞きました。何かその姿を見ておきたい気がしたのです」
婆「・・・ふむ。まぁいいじゃろ」
保守的な老婆は、ソロをカルベローナに迎え入れた。
ソ「ど、どうも」
老婆は振り返って、言葉を添えた。
婆「どうにもならないようなら・・・そこのかがり火を囲って夜を明かしなさい。凍え死ぬことは避けられるじゃろう。皆が冷たいなら、明日にはすぐに帰りなさい」
排他的なのか、優しいのか。
しかしとりあえず、森の中の排他的な里の中で、死なずに夜を明かせそうな保障は得て少々安堵した。
魔法の町の人と話がしたいが、まずは寝床の確保が優先だ。宿などなさそうだ。泊めてくれそうな人を見つける必要があるようだが・・・どこにいる?これまでの経験から考察すると、町の入口に近い人ほど部外者に愛想が良い傾向がある。奥まで踏み入っていくよりは表面をなぞったほうがよいか。
かがり火は里の入口だけでなく、外周のずっと先にも見える。里の四方にあるのだろうか。かがり火がこの里における外灯であり、その手入れを目の前の家の者が担っているとすれば・・・その家の者は世話焼きな気質をしているのではなかろうか。
暗くてよく見えないが、家の作りは街のものとは違う。それは絵本の中で見た小人の家のようで、曲線的でカラフルで可愛らしい。ここは、里を歩くだけでも楽しそうだ。排他的なのがとても惜しい。

家を眺めながら歩いていると、やはりかがり火の目の前の家は少し様相が違った。家の壁はくり抜かれていて、カウンターがある。何かの店のようだ。
ソロはそのカウンターから家の中をじっと覗いた。誰かが気づいてくれないかと願いながら、1分もずーっと覗いた。
すると、家の中の女性がこちらに気付いた。
●ターニア

年齢:32歳 誕生日:1月13日 身長:153cm
女「あら、他所の人なんて珍しい!《エルフの飲み薬》でも買い付けに来たのかしら?商人にも見えないけど」
童顔に見えたが、話し方をみるにつけ立派な大人であるようだ。
ソ「あのう、それはちょっと知らないんですけど、魔法学校に興味があって来たのです」
女「魔法学校?それは焼けてなくなっちゃったけど。再開するのは何年か先じゃないかしら」
ソ「いえ、生徒になりたいわけでもないんです。
あのう、僕でも泊めてもらえる家を、どこかご存じありませんか?」
「泊めてくれませんか」と尋ねるよりも「泊めてくれる家を知りませんか」と尋ねるほうが、圧迫感がないはずだ。
女「あぁ泊まるところ探しているの?
うーん。いいわよ。うちで泊めてあげる」
ソ「え、いいのですか!」
女「うふふ。うちはカウンターでくり抜けだから、大声出したらすぐ周りに聞えるわよ!」
ソ「え、えぇ」
ソロの推測は概ね的中したようだ。薬屋か何かをやっているゆえ、排他的な里の中でも排他的ではない住人だ。
ソ「うわぁ」家の中もやはりおとぎ話のようだ。
女「うふふ、商人じゃなさそうね」
ソ「あの、ご飯もめぐんで貰えると助かります。10ゴールドでいいですか?」ソロは先に代金を置いた。
女「どうも。そんなにご馳走出せないけど」
ソ「いえ、いいんです。
僕はソロといいます。カレンという国の出身です」
タ「カレン?どこかしら。私はターニア」
ソ「ターニアさん」ソロは忘れないように復唱した。
「ママぁ?むにゃむにゃ」話し声を聞きつけて、少女が起きてしまったようだ。
タ「あらあらヒメア。困った子ねぇ」
ソ「ごめんね!起こしちゃって」
ヒ「ひっ!」少女はターニアの陰に隠れた。
●ヒメア

年齢:11歳 誕生日:3月23日 身長:146cm



