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episode53 『王と悟り』

6 時間前
読了時間: 4分

episode53


3人はソロをまたいで扉の奥へと入っていく。

戦「うぉー!ホントにいやがった!!!」

雪山の奥深き洞穴には、緑色の大きな龍がとぐろを巻いていた。

盗「うほー!マンガで見たことあんぞ、こういうやつ!」

緑龍
緑龍

ジャキン!3人は武器を構えた。

3人の構える武器を、龍は見据える。

龍「話し合いをする余地もなしか。仕方ないな・・・」

龍は大きく息を吸い込んだ!

「うぉー!」3人は武器を振りかぶって立ち向かっていく。


ビュゥゥゥ――――――!!!!

龍は冷たく輝く息を吐きだした!

3人は凍り付き、あっさりともう動けない・・・

龍は凄まじく強いのだった。




ソ「う・・・あ・・・」

ソロは洞穴の向こうの声だけが聞こえている。

ソ「痺れたときはたしか・・・《まんげつ草》だ」

ソロは覚束ない手で懸命に鞄をまさぐり、《まんげつ草》を取り出し、口に入れた。

次第に痺れは引いてくる。



立ち上がり、扉の向こうへ目をやると、そこにいる大きな緑の龍に驚かされる!

ソ「・・・!」

龍はゆらゆらと揺れている。

龍「そなたも私を殺しに来たのか?」

ソ「い、いいえ!」

龍「殺さずに龍の血を得るのか?」

ソ「ごめんなさい。

 龍の血の話や、そして龍という存在に興味がありました。

 でも龍の血を持って帰ることに熱意はありません」

龍「そうか。言われたとおりに受け止めよう」

ソ「あのう、この人たちはどうしましょうか?」

龍「生きて帰すことは出来ない。

 後で完全に始末する。そなたは人の死体など見たくないだろう。気にしないことだ」

ソ「あ、はぁ。

 あのう、龍は正義ですか?悪者ですか?」

龍「龍にも色々いる」

ソ「あなたは?」

龍「私は、この雪山を守る者。

 場合によっては人を殺す。私は雪山を守り、己の命を守る。

 私に返り討ちに遭い、命からがら逃げ帰った者は・・・

 『龍が人を殺した』と話すのだろう。

 そして人々は、龍とは悪い生き物だと思い込む。

 どちらが悪い生き物なのだろうか?

 誰が悪い生き物なのだろうか?

 正義とは?悪とは?難しい話だ。誰もその真相をわかっていない」


ソ「真相と言えば・・・

 龍の血を飲むと老いなくなるのですか?」

龍「・・・・・・。

 謎とは、自ら解き明かすものだ。

 真相を知りたがっているのは女だろう。ならば女は自ら解き明かすべきだ」


ソ「わかりました。

 ありがとうございます。もう行きますね」

ソロは振り返って扉から出ようとする。

龍「体を治していきなさい」

そう言うと龍は、ソロに回復魔法を放った。

ソロの頭の痛みはなくなった。体の痺れも完全になくなった。

ソ「ありがとう・・・!」


ソ「龍が・・・本当にいたなんて・・・!」

誰かに話したくてたまらないが、きっと誰にも話してはいけないのだ。龍の情報を渇望していた女性にも、話すわけにはいかない。次の町で出会う旅人にも話してはいけないのだ。

こうして、世界には1人か2人しか真相を知らない伝説というものが存在する。



ソロはそそくさとシャンバラの里へと帰った。

ソ「結局龍はあの1体しかいなかったなぁ。

 セントベレスにたくさんいるって、あの女の人言ってた気がするけど」

なぜ情報と食い違うのだろうか?

石碑の内容が正確に伝えられていないから。書き手が比喩的な、または曖昧な表現をするゆえに解釈を間違えているから。雪山はまだまだ広いが、ソロが訪れたのは一部にすぎなかったから。色々な可能性が考えられる。


謎とは、簡単に解けるものではない。

皆が知るべきことでもない。

ある物好きが、人生を賭すほどの冒険をしてようやく解き明かす、その程度でよいのだ。だから謎は謎のままであり続ける。

仮に龍の血を飲むことで老いない女が現れるとして、それはたった一人かせいぜい1%の限られた者のみで充分なのだ。

「人生を賭すほどの冒険」なんて、皆はしない。少しの冒険をするだけだ。

扉の前で立ち往生して、「あの謎は嘘だった」と結論づける。

扉の向こうの入り口に立ち「話と見た目が違う」と訳知り顔で言う。

もっと長いこと検証しないことには、それが真実なのか、わかりはしない。

謎を解くことは、物理学者が賞を獲ることよりも難しい。

どこがゴールかわからないから。


謎なんて、無暗に追わないほうがいい。

なぜなら、どうせ騙されるからだ。

謎というものは人々を惹きつけ、だからそれは商売に濫用される。またはその渦中で男に騙され、女に騙される。

謎なんて、無暗に追わないほうがいい。

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