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エピソード19

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年1月31日
  • 読了時間: 3分

翌日は、打って変わって、

一人で、公共機関を駆使して、アスワンの近郊を観光したんだ。


まず、

市営のフェリーで、ナイル川を横断して、対岸に渡った。



…そうそう!

アスワンのナイル川では、

フルーカという名前の巨大ヨットが、有名なんだ。

帆船走行もするし、エンジン走行もするから、

川の上流と下流を、長い距離でも行き来出来る。

3日くらいかけてナイル川を縦断するようなツアーもやってるよ。

モチロン、

対岸までの橋渡しや、目的地のナイ遊覧走行もやってる。

だから、恰幅のイイ金持ちの欧米人夫婦なんかは、

優雅にフルーカに乗って対岸に渡ったりしてるよ。


フルーカは、もっぱら個人経営だから、

川一つ渡るだけでも、交渉する相手や交渉の上手さによって、

値段がぜーーんぜん、変わってくるよ(笑)

10ドルで渡るヒトもいれば、30ドルで渡るヒトも居る(笑)

…発展途上国によくある「完全交渉制」の乗り物だと、

オンナジ乗り物で、オンナジ距離を移動したって、

3倍程度の値段差が付いちゃうのは、ザラなんだよ(笑)

…ちなみに、

市営のフェリーで渡る場合には、1ドルも、掛からない(笑)



対岸には、

岸に着いた途端に、

小高い、茶肌の、山が見えるだろうさ。

「岩窟墳墓群」っていう、チョっとした遺跡があるんだよ。

岸から遺跡の入り口までは、

ラクダ・タクシーにまたがって、優雅に散歩することも出来る。

僕は乗る気が無かったから、値段交渉すらしなかったけど、

ラクダ・タクシーもやはり、

交渉の仕方によって、値段はコロコロ変わるだろうさ。

3ドルのヒトも居れば、10ドルのヒトも居るよ。


「岩窟墳墓群」って遺跡自体は、大して面白くナイ。

だから、観光客の姿もほとんどナイ。

ココに滞在した3時間ばかしの間に僕が見た観光客は、

わずかに、2人だよ(笑)

それなりに、RPGの山岳系ダンジョンみたいな趣はあるんだけど、

どうにも迷宮度が低いなぁ。

カンジンなところは、カギが掛かって入れないしさぁ…

何でカギがかかってるのかって?

誰か、偉いヒトの墓だろうさ。

きっと、ピラミッドをこしらえるほどの権力が無かったから、

「ピラミッドくらいのサイズの山」に、

簡素な墓を、作らせたんだろうさ。


メインとなる墓を越えても、尚のこと登っていくと、

山のてっぺんに、小さな東屋みたいのを発見した!

僕は、こういう、

みんなが気付かないような隠しスポットを探し当てるのが、得意なのさ♪

今回もモチロン、

山の頂の避暑地を独占出来るモンかと思ったら…

すでに先客が居た!!

しかも、女の子だ!


上まで登ってみると、

それが日本人であることが、解った。

山の頂を絶え間なく吹き抜ける、涼風に当たりながら、

2人でしばらく、雑談をしていた。

彼女は、

これからフルーカに乗って、ルクソールまで北上するんだそうだ。

それはなかなか、イキなアイデアだなと思ったよ♪

…ただ、ルクソールに辿り着くまでに二日も掛かるというから、

ダニーとの約束がある僕は、断念したけどさ。


山のてっぺんから周囲を見渡していると、

左手のほうに、小さな集落が見えた。

それがさぁ、

民家が、ほとんどみーーーーんな、水色をしてんだよ!!

ガイドブックには、「水色の町 ヌビア村」と書かれていたよ。

僕は、こういう、

「独自の趣を持った集落」が、大好きなんだ♪

「旅してるなー!」ってキブンに、させてもらえるからさ♪

2時間も東屋で話し込むと、

僕は、彼女を残して、下山することにした。



『導かれし者たち』

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