top of page

エピソード47

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年1月31日
  • 読了時間: 3分

登り始めは、真夜中の0時頃だった。

山道には、外灯なんてモノは一つも無く、

見事に真っ暗だった!!

「ツアーガイド」なるヒトも、一緒に登ってはいるらしいんだけど、

こう真っ暗じゃ、どこに居るのかワカラナイ…

ライトを持参していて、英語が堪能な、他の旅行者たちは、

ガイドと一緒に歩いていたのかも、しれないよ?

少なくとも僕は、

バスを降りてからものの3秒で、ガイドや一行とハグれていた(笑)

とりあえず、

登山者自体は腐るほど居るから、

ほとんど、彼らの足音だけを頼りに、

手探りならぬ、「足探り」で、のらりくらりと歩を進めた。


…しかし、

僕には秘策があった!!

「ラクダで登山できる」

ってコトが、ガイドブックに書いてあったからさ♪

西方砂漠では、「ラクダに乗ってさすらう」って夢が叶えられなかったから、

その夢を果たすコトと、登山をラクチンするコトを、

この山で兼ねようと、企んでいたのさっ!


ラクダの客引きは、

登山口のはじめのほうから、

何人もウロウロと並行していたけれど、

最初の1時間くらいは、自力で登った。

そうじゃないと、なんだか悔しかったのさ。

手ごたえのナイ登山ほど、ツマンナイものってナイだろう!?

1時間も頑張ると、

納得がいったし、足腰がくたびれてきたから、

どの客引きのラクダに乗ろうか、しばし考えた。

そして、10歳くらいの小さな少女を選んだ。

「子供ならまだ、ガメツさもマシだろう」

と、踏んだのだけど…


…甘かった(笑)


その時僕は、小銭が50ポンドしかなくて、

距離もずいぶん減ってるから、「この額でイイだろう?」って交渉したら、

彼女は、さんざん渋った挙句、OKしたんだ。

(相場はだいたい、70ポンド程度のようだった)



ラクダという動物は、

その背に乗ってみると、

遠目で見ているよりも、ずいぶんと大きくたくましいことが、実感できた…!!

コレが、

「知識と体験の違い」というヤツさ!!

ラクダは、真っ暗闇の中だっていうのに、

ごつごつした不安定な山道を、大きなストロークで、力強く、登っていく。

たくましい…!!

…そのラクダをリードして登る、わずか10歳ばかしの彼女は、

さらにたくましいと思った…!!

彼女はいったい、

どんな視力と体力を、持ち併せているんだろう…!?

野生児というのは、

先進諸国の人々からは想像も付かない能力を持ってるよ。

ホントは、オリンピックで優勝するようなヒトたちは、

「世界一」なんかじゃナイってことを、僕は知ってるよ。

…スポーツに限らず、ナンにしたってそうだけど、

ものスゴい能力を持ってたって、

レースに興味を持たないヒトって、あんがい大勢居るモンさ(笑)

田舎や僻地じゃ、そもそもレースに参加することすらできないしね。


その筆頭選手が、

今まさに、目の前に居た!!


彼女は、たった10年ばかしで、

いったい、何をどうやって、

この強靭な肉体を培ってきたんだろう!?

「人間に不可能なんてナイんだなぁ」

と、改めて痛感させられちゃったよ(笑)

わずか10歳ばかしの女の子でも、

高価なトレーニング機器もサプリもコーチも無くたって、

「ただ、日々の習慣」それだけで、

このようなことが出来るようになっちゃうんだ(笑)

「文明」ってのは、いったい、

人間を進化させたのか?退化させたのか?



『導かれし者たち』

bottom of page