top of page

エピソード6

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年1月31日
  • 読了時間: 3分

メトロに乗って赴いたのは、「オールド・カイロ」だった。

「旧市街」のことさ♪



僕は、各地の「旧市街の雰囲気」ってモンが、大好きなんだ♪

たいてい、

建物や石畳なんかは、何百年も前のを、そのまま使ってんだ。

だから、昔々にタイムシリップしたようなキブンに、させてもらえるんだよ♪

ビルやマンションは建ったりしないけど、

旅行者向けの商業施設は、それなりに、ある。

かといって、

マクドナル○とか、スターバック○みたいなチェーン店は、

「本場の旧市街」には、出店してないなぁ。



…今さ?

「本場の旧市街」ってコトバを、使ったろう?

「旧市街」ってコトバには、

二つの概念があるんだ。

1つは、

今僕が訪れたオールド・カイロみたいに、

小さな町の一角だけを、「旧市街」と名付けてる場合さ。

こういう小さな旧市街が、「本場の旧市街」のことだよ。

風情があって、情緒があって、タイムスリップ出来る場所さ♪

対して、

大都市全体を、旧市街と呼んでる地域もあるんだよ?

こういうところは、

「開発が遅れている都会」ってカンジなんだ。

ビルもあるし、マンションもあるし、風情もクソもナイ。

「本場の旧市街」は、

ぜひ、一つや二つくらいはゆっくり散歩して周ってみてもらいたいけど、

「開発が遅れている都会」のほうと、カンチガイしないようにね?



「オールドカイロ」は、モチロン、

「本場の旧市街」のことだよ?

地獄のタフリール広場から、わずか20分ばかしの場所なのに、

東京の下町みたいな、のどかな町並みが、広がってんだ♪


だいたい、こういう町には、

「全てを達観しちゃったような爺さん」が、

軒先で茶でも飲んでるんだよ♪


…一応聞くけど、

「全てを達観しちゃった爺さん」って、どんな風貌を想像する?

座禅でも組んで、神妙な顔してるヒトだと、思ってナイ?

そういうのは、「探求者」って言うんだよ(笑)

探求者は、答えを求めて苦悩してるから、

神妙な顔つきをしてるのさ。

「全てを達観しちゃった爺さん」ってのは、

「答えを求めて力んだところで、答えなんか得られない」ってことを悟って、

ノンキな笑顔を絶やすことのナイ人のことさ♪

そうだよ!

亀仙人みたいのが、

「全てを達観しちゃった爺さん」のことさ♪


ヤツらは、

コッチがニヤニヤした顔で旧市街を歩いてると、

シンパシーを感じて、声を掛けてくるんだ♪

「コレ!コレ!

 ソコのヤバンニ(日本人)!」

「え?僕!?」

「ちょいと、茶でも飲んでいかんか?

 ホレ、ワシの横に座れ!」

…てなコトを、

流暢なアラビア語で、しゃべり通すんだ(笑)

僕、アラビア語なんてわかんないよ?

何を言ってんのかわかんなくても、

「歓迎するから、茶でも飲んでけ」ってコトくらいは、

以心伝心、出来ちゃうんだよ♪

そんで、

何の話題があるワケでもなく、

並んで座って、おしゃべりでもするんだよ♪

「茶、美味いか?」とか、

「オマエ、トーキョーか?」とか、

「もう一杯、飲むか?」とか、

そんな話を、するのさ。

すると、

近所の子どもが興味深げにやってきて、

満面の笑顔で、爺さんの懐にもぐりこんだりするんだよ♪

そしたらもう、

旅人からすりゃぁ、絶好のシャッターチャンスさ♪

偽(つく)った笑顔でもなく、偽(つく)った親子愛でもなく、

ありのままのジモティの、イキイキした表情が、

写真に収められるのさ♪


子どもの笑顔の写真を撮りたいんなら、

「笑ってー!笑ってー!」なんて追い立てるんじゃなくて、

自然に仲良くなっちゃった子たちの、自然な笑顔を撮るしか、ナイんだよ!

んで、

現地の子どもたちと「自然に仲良くなる」ためには、

路地を曲がってくるその前から、

ニヤニヤ楽しそうに微笑んでなきゃ、

子どもたちは、寄ってきてはくれないのさ。



『導かれし者たち』

bottom of page