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えぴそーど111 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』

えぴそーど111


バーミヤンを思わせるような赤い大地の中に、リベリラの石の教会はあった。

それは岩の中に縦に掘られた、極めて原始的でありながら見事な彫刻教会だ。岩しかなくとも、人は芸術をするものだ。そして芸術を極めてしまうものだ。

地上から、階段を下りて神殿の入り口へとたどり着く。

教会にも門番はいたが、宮殿のような厳格なものではないようだった。

「すごい武闘家に力を貸してもらいたくて来た」と真面目な顔で率直に言ってみた。

「ううむ。あなた方の望みは叶えられないかも・・・」と兵士は言葉を濁した。

兵「とにかく入りなさい」


ヒ「どうして叶えられないの?

 すごい英雄だったんでしょ?(・∀・)」

兵「それはあくまで昔のことだ。

 今はもう・・・ヨボヨボのご老体になってしまった」

4人「えぇーーーー!!」そうか。時間というのは流れるものだ。

兵「それでも、この神殿にたまに訪れる山賊とかはひょひょいとやっつけてくれるけどね」

むむ?それなら少しは望みもあるのでは?

なにしろカンナ以外はまともな戦力ではないパーティーだ。


カ「いい?ヒナタ!

 彼を勧誘するこのプロジェクトは、絶対に失敗の許されないものなのよ!!

 世界の命運がかかっているの!!

 だから、お願いだから冗談を言わずにまじめにやって!!」

ヒ「あ、は、はいぃ。がんまりますぅ(;'∀')」



兵「老師。客人がおいでですが」

老「ほう珍しい。何用じゃろか?」

神殿の奥には、座禅瞑想にふける年老いた男の姿があった。

ブターンの僧侶のような、茶色っぽい衣を着ている。

カ「モンク・・・?」カンナは小声でささやいた。そして正義の助っ人として期待が持てるのではないかと感じた。

ヒ「老師様!

 えーっと、魔王の手下を倒すために、チカラを貸してほしいんです!」

カ「よく言ったわ!大体まともよ!」

ミ「はじめてのおつかいの親子みたい(^▽^;)」

老「むむ?これまた単刀直入なあいさつじゃのう」

ヒ「老師様も知ってるでしょう?

 魔王はたくさんの手下をこのアフィリカ大陸にぶつけようとしてるんです!

 アタシたち、それをやっつけよう思ってるとても良い子なんです!

 でも、すごいすごい良い子なんだけど、チカラが足りないんです!」

カ「だんだん怪しくなってきてるわよ!」

ミ「言っていることの筋は間違っていないわ!がんばって!」

老「むむう。

 わしはアフィリカ大陸の人間ではないからのう。この土地に大した愛着もない」

ヒ「えぇ!そんな!」

カ「ブターンのモンクでは?

 心技体を兼ね備えた達人とお見受けします!」

老「ほほう。東南マジマのモンクを知っておるのか。なかなかよい」

カ「東南マジマの辺境の人なのに、わざわざアフィリカ大陸を救うためにチカラを貸したことがあるのでしょう?

 もう1度、もう1度だけお願いします!」

老「むむう・・・」

兵「やはり、ご老体にムチを打たせるのは酷なものが!」

ヒ「老師様!どうかお願いします!!」

カ・ミ「どうかお願いします!!」


老「重要な・・・確認事項がある」

カ「なんでしょう?なんでもお答えします!」


老「その戦いでは・・・」


カ「はい!」


老「ジョークを言ってもイイんじゃろか?( ̄▽ ̄)」


4人「は!?」


カ「い、いま何と?」


老「その戦いでは、冗談を言っても良いんじゃろか?と尋ねたんじゃ」

4人「はぁーーーー!?」

老「ダメなの?

 ゲホゲホ!急に不治の病にかかってしもうたもうダメじゃぁ!」

カ「貴様さてはヒナタの遠い親戚だな!!

 いいわジジイ!

 ジョークを言ってもいいから絶対に勝って!!!」

ヒ・ミ・セ・兵「手のひら返しすぎーーーーーー!!!」

カ「こういう人の対応はヒナで鍛えられてきたわよ!」

老「ほっほっほ!なかなかよいぞ。

 勝つのはカンタンなんじゃよ。ジョークを言わないことが難しい」

ヒ「きさま、アタシのライバルキャラになろうとしているな!(ꐦ°᷄д°᷅)」

カ「どこで張り合ってんのよ!」

ミ「チカラを貸してくれるのですね?」

龍「よいじゃろう(*'ω'*)

わしのことは龍ちゃんと呼ぶがよいぞ」

ヒ「りゅうちゃん?」

龍「そうじゃ。名前は龍之助」

カ「りゅうちゃんって、昔の魔王のひ孫の名前じゃなかった?」

龍「おぉ!悪者に間違われるのは好都合じゃ(・∀・)」

ミ「ど、どうしてでしょう(^▽^;)」

龍「そのほうが好き勝手やっていられるからなぁ( ̄▽ ̄)」

カ「やはりヒナの親戚なのでは・・・!?」

ヒ「か、変わった人だね( ̄▽ ̄;)」

龍「おぬしに言われたくはない( ̄▽ ̄)」

老師・龍之助 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』
老師・龍之助

決意を固めた老師とともに、一行は地上に出た。

龍「ところでおぬし・・・

 そいつは《慧眼(けいがん)の杖》ではないのか?」

老師はカンナを見ながら言った。

カ「は?これ?

 これはキャシーちゃんよ(´_ゝ`)」カンナは杖に頬ずりしながら言った。

龍「愛称などシラン。

 《慧眼の杖》という名のものじゃろう?」

カ「そういえば・・・そんな名前だった気もするわ。

 ロクデナシな学校に貰った、ロクデナシな杖なの。廃棄物を押し付けられたようなモンだけどね、私はこの子カワイイからいいのよ♡」

ミ「聞いたことないわね。《慧眼の杖》なんて」

龍「かっかっか!そうかそうか。

 そんなとんでもないロクデナシを手に入れるほどのロクデナシな魔法使いなんじゃな♪」

カ「何ぃー!!

 失礼なこと言うと、この子でアンタのこめかみ突き刺すわよ!!」

龍「かっかっか!

 そいつはとんでもないロクデナシじゃ!

 伝説の武具の1つじゃよ♪」

4人「えぇーーー!?」

龍「ジョーダンじゃ♪かっかっか!!」

カ「ムキー!!魔王軍の前にこの爺さんを滅ぼすわよ!!!」

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