えぴそーど35
象のトロデの背に乗って、旅は続く。
ひゅん!
ひゅひゅん!
不意に何かが飛んでくる!一行はキョロキョロと辺りを見渡した。
すると向こうから数匹の魔物が、こちらに大きな石を投げつけてくるではないか!
ヒ「こらぁ!トロデに当たっちゃうでしょうがぁ!!」
ヒナタは大切なトロデを守るため、颯爽とその背中から飛び降りた!
他の3人も象の背から降り臨戦態勢をとる。
ヒ「ふっふっふ!バレー部の実力、見せつけてやるぅ!!」
ミ「おぉ、頼もしいわ!」
マージインプの群れがあらわれた!
マージインプたちは次々に石を投げつけてきた!
ヒ「しゅばっ!
しゅばしゅば!!
しゅばばばばば!!」
なんとヒナタは、このうえなく誇らしげな顔で、
すばやくみをかわした!
カ「全避け!?あなたドッヂボール部に入ればよかったのに(´_ゝ`)」
ヒ「ドッヂ部なんてなかったんだよぉぉ!」
しゅばっ!
しゅばしゅば!!
ミ「1つもレシーブできなくて、それでマネージャーになったのかしらね(^▽^;)」
ヒ「ちがわい!
1つもアタック打てなかったからだい!」
結局ヒナタは何の役にも立っていないので、3人と1頭はそれぞれにせっせと石を避けた。
カンナは《ヒャダルコ》を唱えた。魔物の群れをやっつけた!
カ「はぁ。そろそろ戦力になってくれないかしらね」
魔物はだんだん強くなってきて、冒険の初心者では手に負えないほどになってきていたが、まだまだカンナのほうが格上だった。
やがて一行は、ルアンパというのどかな町に辿り着いた。
カ「小さな町のわりに人の姿が多いわね」
ヒ「お婆ちゃん。この町はなんか美味しいものとかで有名なの?」ヒナタは町人に話しかける。
婆「ここはのう。願いが叶う、幸せになれる町じゃよ。
立派な大仏さんがおるでのう。町の外からもおーぜい、人が参拝にくるでよ」
ヒ「えぇ?大仏さんって偉い人なの?」
婆「人ではない。仏像じゃ。ほれ、ありがたい姿じゃのう」
婆さんの指さした方向を見上げてみると、小高い丘の上に金色の大きな仏像が鎮座している!
ヒ「おぉ、でっかい!!」
婆「おぬしらもお参りするとえぇぞ。願いごとを何でも叶えてくれるんじゃ。
ありがたやありがたや」
一行は丘の上まで登ってみることにした。
ヒ「願いが叶うんだってぇ~!
小粋な彼氏見つけてくれるのかな?」
カ「コロッとだまされないでよ。
拝んだだけで願いが叶ったりするわけないでしょ」カンナは冷めた目で言った。
すると、すれちがう男がこちらを向いた。
男「何を言っとる!ルアンパの大仏さんは特別さ!
なにしろ金ぴかだからな!すごい見事だろう?すごいチカラがあるのだよ!」
カ「どーかしら」
ヒ「やっぱ金ぴかだとすごいのかな!?
ヒボンでもみんな、立派な大仏がいるところに御朱印集め行ったりするもんね」
丘の頂上、大仏像のふもとに達した。
大勢の参拝客でにぎわっている。
衆「ありがたや!ありがたや!」皆、手をすり合わせたり膝まづいたりして拝んでいる。
参拝客のざわつきに混じって、一人の男の大きな声が聞こえた。
?「願いを叶えたい人はこちらに並びなさい!
大丈夫。慌てないで。神は皆に平等だ」
衆「おぉ、平等の神だ!これは本物だ!」
ヒナタはその男に話しかける。
ヒ「あなたは誰なの?神様の秘書?」
ダ「うん?私はダイコクという者だ。
神への信仰から富を得た第一人者だから、打ち出の小づちで皆に富を分けてやっているのだよ。はっはっは!」
衆「おぉ!英雄ダイコク様!」
衆「ありがたや!ありがたや!」
ヒ「大仏様に拝んだらお金持ちになれるの?」
ダ「左様だとも。
神に拝み、幸せになりたいのか?それならば、そこのお賽銭箱に5ゴールドのお布施を払いたまえ」
ヒ「お金とるの??」
ダ「なぁにたったの5ゴールドだよ。5ゴールドで面会してくれるのだから太っ腹な神様である。医者は30ゴールドも取るだろう?神様はもっと良心的だ」
カ「参拝したらお金持ちになる証拠がどこにあるわけ?」カンナが涼しく口を挟んだ。
ダ「なに?証拠だと?それなら目の前にある。
私は巨万の富を得たから、金で出来た巨大な大仏様を建立できたのだ。
このダイコクこそが、信仰の生き証人である」
カ「ふうん。これ、すべて金で出来てるのね?」
ダ「そうである。立派だろう!」
カ「金メッキじゃなくて、金で出来てるのね?」
ダ「そ、そ、そ、そうである!だから他の大仏よりもご利益があるのだよ。
だから世界中から参拝者が訪れるのさ。
この参拝者の数こそが、ご利益の証拠である!」
カ「あっそう、素敵ね」カンナは冷めた声で妙な相槌を打った。
ヒ「うん?結局何なの??」
ヒナタが首をかしげたその瞬間・・・