えぴそーど40
翌日の夕暮れ、噂のサオカン通りに到着する。
ピーピーピー!!
誰かが警告のホイッスルを吹いている。
ヒ「うん?」一行は振り返る。
警「こらこら!サオカン通りに象で乗り入れるなよ!
夜に向けてここは人でごった返すからな!そんなの邪魔でしょうがないよ!」
なんと、警察だ!
ヒ「えぇ?通れないこともないけど」人通りは多いが象が通れないこともない。
警「だから、夜にかけて人が増えるんだよ!」
トロデは交番の前で、トラックと一緒に待機することとなった。
サオカン通りとやらは、とても賑わう大きな歩行者天国だ。両脇には、土産屋や食べ物屋が軒を連ねている。
ヒ「ねぇ、太鼓とか売ってるよぉー♪」エスニックな風情があって楽しい。
ミ「それにしても・・・サオカン通りも昔よりずいぶん騒がしくなったわ・・・」
カ「なんか夜にかけてもっと人が増えるとか言ってなかった?」
一行がぶらついていると、噂は現実となった。
両脇のレストランは、夜になるとバーに様変わりするのだった。客たちはビールを飲んで陽気になる。
そして・・・
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
19時を回った頃、急にあたりを爆音がつんざいた!!
ヒ「きゃぁぁー!!」
カ「なに!?魔物の襲撃!?」
ミ「いいえ!
バーから流れるダンスミュージックだわ!!」
一軒が爆音を流しはじめると、それを合図にあちこちの店が、競い合うかのように同じような爆音ミュージックを流しはじめた!!
そして酔い客たちはますます騒ぎ出す!
男「おぉ!アジアンビューティーの姉ちゃん、一緒に酒を飲もうぜ!」
絡んでくる男まで出てくる始末だ。
カ「こ、これが、バックパッカーの聖地なの!?」
ヒ「ミーさん、昔はイケイケだったの?Σ( ̄□ ̄|||)」
ミ「いいえ、違うわ!
昔はこれほど下品な町ではなかったの!
若者の姿は大勢あったし、お酒を飲む姿も多かったけど、これほど下品な様子ではなかったわ・・・!」
カ「様変わりしてしまったのね。観光地化の過激化に伴って」
ミ「サオカン通りはもう、『バックパッカーの聖地』なんかじゃないんだわ・・・!!」
ヒ「でもさっきのボンジュールたちはここが楽しかったって言ってたよ?」
カ「つまり、バックパッカーにはこういうのが楽しいタイプも、いるんだわ!」
ヒ「き、気を付けないとΣ( ̄□ ̄|||)」
爆音に交じって、誰かの叫び声が聞こえる。
男「どわー!オレのサイフがねぇー!!」
通りの入口に交番があったのに、まともに機能していないらしい・・・
一行は引き返し、トロデを拾って、川の向こうまで避難してから夜を過ごした。
危険とは、魔物がいるかどうかの問題だけではないらしい。