えぴそーど45
ホチーミンから北上をはかる。
ざっくりと言えばホイヤンに逆戻りする感じになるようだ。なるほど、風景に見覚えがあるような気もするが、実際には違う道を通っている。広大な東南マジマは、似たような風景が広大に広がるのだ。
ホイヤンを通り過ぎ、さらに北上すると、ピエンチャンという国があるらしい。そう大都市とも言えないが、東南マジマの主要都市の1つには挙げられている。
カ「そういえば、なんか神とか仙人とか名乗る変な人たちに絡まれたけど、あれも魔王の手下だったのかしら?」
ヒ「いいや」
カ「違うの?わかるの?」
ヒ「いいや、絡んだのはアタシたちのほうな気がするー(・∀・)」
ミ「あはははは。そうかも」
ヒ「魔物じゃなくて人間だった気がするよ?」
カ「そうよね?
チ〇コ刺して殺しちゃったりしたけど良かったのかしら(汗)」
ミ「いいんじゃない?」
ヒ「イイんだよラノベだから(≧∇≦)」
カ「それを言っちゃダメだってば!」
ピエンチャンに到着した。思いのほかのどかな町だ。
昔ばなしに出てきそうな雰囲気がある。象がよく似合う。
広場に通りかかかると、噴水の前に人だかりができている。一行は楽しいことがあるかと見物に赴いた。
?「それでは今日も一曲・・・」
琵琶(びわ)という楽器を持った若い女性が、しっとりと言った。
思わせぶりに遠くを見つめると、哀愁を込めて歌い始めた。
「オオカミだとわかっていながら~
あなたの誘いに乗ってしまいますぅ~
夜の寂しさにぃぃ~ 耐えられないからですぅ~」
聴衆は拍手喝采だ!
衆「わーわー!いいぞー!」
衆「かわいいなぁ~もっとこっちを見つめてくれぇ~」
?「ごめんなさい。
ちょっとめまいがするので、今日はこれでお開きですの。
またここに歌いに来ますわ」
衆「そうか~残念だなぁ」
衆「また明日も来るぜ!」
聴衆は引き上げていった。
女はゆっくりと片付けをしている。
ミ「上手な歌声ね」
ヒ「でもアタシ、ああいうウジウジした歌好きじゃないなぁ~」
カ「こら、大きな声で言わないの」
ヒナタは声を掛けてみた。
ヒ「やぁお姉さん。どうしてこんなところで歌ってるの?」
?「あら、見ない顔ですね。旅のお方かしら。
私はメンザイと言います。素性は明かせませんわ。うふふ」
ヒ「ふうん。ミステリアスな人ぉ。
どうしてこんなところで歌ってるの?」
メ「この国では最近、自殺者が多いのです。
ですから私が、大衆に元気を、癒してあげているのです」
ヒ「あのう。言っちゃぁなんだけど・・・
もっと明るい歌を歌ったほうが、みんな元気になるんじゃない?」
メ「いいえ。
落ち込んだ人に寄り添ってあげるほうがよいのですよ。心理学の先生が言っていました」
ヒ「そうかなぁ?
それで自殺者は減ったの?」
メ「私の歌を聞きに来る方は、日ごと増えております。
いいえ!スターだなんてそんな。
私は脚光を浴びたくはないのです。本当は顔も隠しておきたいほど」
ヒ「ふうん。シャイな人なんだね。
あのさぁ、ファンデ明るくしたらもっと可愛くなるかも?」
メ「いいえ、よいのです。
皆に寄り添って、癒してあげるのです。
では私は、これで」
そう言うと、メンザイという歌姫は静かに去っていった。
カ「また悪者なのかしら?そうも見えないけどね」
ヒ「ウツな人を元気にしたいって言ってたよ?」
ミ「それは良いことだけど、あの暗い歌でそれが出来るのかしら・・・」
広場に面したところに大きめな立派な宿があった。一行はそこに入ってみる。
一行の予算からすると少し高かったが、この国はあまり宿がないという。まぁここでいいか。
1階のロビーは食堂を兼ねており、立派なテレビが映っている。
食事を摂りながら休憩していると、テレビはニュース番組に切り替わった!
テ「魔王に関する最新情報です!
なんと、勇者の子孫であるヒボン列島の少年が、原因不明の突然死をしたもようです!」
カ「え!あなたのお兄ちゃんじゃないの!?」
ヒ「ぽかーん( ゚д゚)」
テ「・・・少年はもともと、家に引きこもりがちで不健康体でしたが、それにしても急激な容体の悪化に家族も困惑。原因はエナジードリンクの飲み過ぎによる中毒死とみられ・・・」
ミ「家族を次々と失って・・・かける言葉も見つからないわ」
ヒ「いやぁ別に悲しくもないんだけどね。
ビックリはするよね(@_@)」
テ「・・・それに伴い、勇者の血を引く若者は彼の妹ただ一人となりました。
戦闘の教育を受けた少女ではありませんが、世界の期待は彼女に注がれそうで・・・」
そしてテレビは、ヒナタの七五三のときのおすまし写真をドアップで映しだした。
ヒ「いや指名手配みたいになってるやぁーーーんΣ( ̄□ ̄|||)
なんでそのハズい写真使う!?」
カ「きゃはははは!かわい~」
ミ「うふふふ。あれなら今のヒナを見てもバレずにすみそうよ」
ヒ「うちのおかん、バカなのか気を利かしたのか・・・」
テ「・・・なお、ヨロハマの街のパチンコ店の近くでは、10年前に冒険に出たまま消息不明だった、その兄妹の父親とおぼしき男性が、近所の高校生をカツアゲしたという通報が入っており・・・」