えぴそーど69
自己紹介をしあっているうちに、テレサハウスに到着した。
それは教会のような建物だった。どこか綺麗で、でもタカルコらしく汚かった。
一行はキョロキョロしながら中へと入っていく。
するとシスターのような人が一行の存在に気づく。
レ「はじめまして!ボランティアがしたいと思って来ました!」
シ「まぁ!5人も来てくださったの♪」
ヒ「い、いや、アタシたちはやるかわからないけど(;・∀・)」
カ「とりあえず見学だけでも許されるのかしら?」
シ「まぁいいわ。お入りなさい」
中にはやはり、教会のような礼拝堂があるのだった。
そしてその脇に幾つか処置室などが並んでいる。
そのときも救急のケガ人が運ばれてきていて、うぎゃーと叫ぶケガ人をボランティアたちがおぼろげな手つきで手当てしていた。
レ「うっ!!」その光景を見てレオナは面食らった!
ケガ人は派手に流血しているのだった。そしてうめいている。
シ「医療の経験はあるの?」
レ「いえ、まだ学生なんです」
シ「じゃぁ救急現場で役立ちそうなスキルは何かある?」
レ「い、いえ、特に・・・」
シ「そう。
立派なホテルは用意できないのよ。この国の粗末なベッドで耐えられる?」
レ「えーっと(汗)たぶん・・・」
シ「病人や老人の、入浴介護とかしてもらうかもしれないわ。結構な力仕事だし、汚い臭いと感じるかもしれません。その覚悟はおあり?」
レ「えーっと、そのう・・・あのう・・・」レオナは夕暮れの花のようにしおれてしまった・・・。
シ「おほほほ。いいのよ。
みんな耐えらないの。だから全然スタッフがいないのよ。
こんなに有名なボランティア施設は世界でも他にないのに。あちこちから人が訪れるのに。それなのに人手が少ないの」
レ「うう・・・」
ヒ「軽はずみに『やる』って言わなくてよかったぁー(゚Д゚;)」
レ「せめて、テレサのお墓だけでも見せてはもらえませんか?」
シ「ええ、いいわよ」
礼拝堂の真下の地下に、マダム・テレサの墓はあるのだった。
シスターは忙しいらしく、場所だけ教えるとどこかに行ってしまった。5人は5人だけで、地下に降りてみた。
殺風景な部屋の奥に、墓石がしつらえられている。
一行はそれに近寄っていく。
レオナは何も言わずに、テレサの墓石に手を合わせて祈りはじめた。
すると・・・!
セ「重たいよう 重たいよう」
セナは急に何かをつぶやいている。
カ「え??」
セ「重たいよう 重たいよう
って 誰かが言ってる」
ミ「霊の声を聞いているんだわ」
レ「まさか・・・!」
?「ここまで来てくれてありがとう。優しい乙女たち」
ヒ「やっぱりお化けなんじゃーん(;°-°;))) 」
カ「初対面の人にまで冗談を言うの、お願いだからやめてくれる(汗)」
レ「マダム・テレサですか!!」
テ「私はテレサです。
重たくて重たくて苦しんでいます。どうか助けてくれませんか?」
レ「えぇ!?」
カ「どういうこと!?この下に埋められているの!?」
テ「はい。私は死後もずーっと、この建物の下に押し込められています。
人々が・・・墓石の前に立ち私の名前を呼ぶたびに、私は魂の体でそれを見つめ返さなければなりません。ときにはこのように、しゃべります」
カ「痛くはないでしょう?魂だもの」
テ「はい。痛くはありません。
でも、大勢の人からの期待というのは、とても重たく、苦しいものです・・・」
一行「・・・!!」
テ「そして、いつまでも次の輪廻転生の旅に出ることが出来ないままでいます。
本当は、ヒボン国の可愛いママの家に生まれて、その少女のように可愛いおしゃれをしたかったのに・・・
できれば私は、この墓石や大きなコンクリートの建物を、私の上から取り除いてほしいのです!」
ミ「テレサハウスが邪魔、ということ!?」
ヒ「でもあなたが建てたんだよね!?」
テ「私がこの施設を建てた頃、この国は戦争をしていました。
戦争の被害を受けた貧しい民が、大勢苦しんでいました。私はそれを無償で助けました。
しかし時は流れ・・・
今ではこの国の民もそれなりにお金を持っています。ヒボンの国の人ほどお金持ちではありませんが、それにしたって女性たちは日替わりで煌びやかなサリーを着ますし、男たちは女を酒に誘ってばかりいます。
それなのに、無償で包帯を巻いてあげる必要などあるのでしょうか?
シスターやボランティアの人ばかりが苦しんで・・・。
豊かになった今、ボランティアの施し方は考え直さなくてはいけません。しかし残された人々は、テレサの意思を継続することこそが正義だと思っています・・・」
レ「どうしよう・・・!!
わたし、生きる希望を失ってしまいました(+_+)
ヒボンに私の居場所はないから、テレサハウスで、マダム・テレサのおそばで、ボランティアに一生を捧げようと思っていたのに!
それがテレサの役に立たないだなんて・・・!!」
テ「あぁ、優しいお方!一体どうしたらよいのでしょう!!
・・・!
あぁ、そうだ!
あなたは、テレサのことを慕ってくださっているのですね?」
レ「はい、だからここまでやってきたのです!」
テ「それならば・・・
私とあなた、1つになって新たな命を生きませんか!?」
テレサがそう言い終えると、墓石から大きな光が飛び出した!
その光はレオナに飛び込んでくる!そしてレオナを大きく優しく包み込み・・・
シュオーーーーーーーーーーー!!!
ぽぽんっ☆彡
なんと!レオナの姿が小さな動物に変わってしまった!
セナの背中のリュックのような、シナモロールのような可愛らしい生き物だ!
そして、澄ました顔でヒナタの肩に乗っている(*◕ᴗ◕*)
カ「こ、この姿で・・・ヒナの旅に着いてくるということ・・・!?」
「プキュー♡(*◕ᴗ◕*) 」
そうだ、と同意しているようだ!
なんと、テレナが仲間にくわわった!