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エピソード106『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年5月2日
  • 読了時間: 2分

エピソード106


翌朝、朝食までもまりんは同行した。

な「これからどこに行くの?」とななは尋ねる。

ま「ピラミッドに行ってみたいの!」

ア「ピラミッドって遠くから眺めるだけじゃなく、中にも入れるの?」

ま「たぶん・・・」

ゆ「そもそもどうしてピラミッドに来たの?こんな砂漠なんて、まりんちゃんには全くイメージ違いだったりするけど・・・」

ま「北の町でね、ピラミッドの話を聞いたの。

 『昔神殿だった大きな建造物がある』ってね。

 『神殿』って言葉を聞いて、なんかわたし、『懐かしい!』って思ったの。そこに行かなくちゃ!って」

な「昔は神殿にいたの?」

ま「ううん。生まれてから神殿なんて場所にいたことはないけど」

ゆ「過去世で、神殿にいたことがある・・・?」

キ「きっと、そうなんでしょうね♪」

どこかを目指す衝動にも、色々なものがあるもんだ。


自慢の馬車にまりんも乗せ、一行は向こうにそびえるピラミッドを目指した。

砂漠の真ん中になぜ忽然と大きな三角があるのか、この人を寄せ付けない荒野を思うと不思議でしょうがない。

キ「昔は砂漠じゃなかったのよ」とキキは言った。

そうか。今見える景色が万年前から続いているとは限らないのだ。地震、噴火、津波、天変地異、戦争、様々な事象を経て大地は姿を変えていく。昔ここにあった街が根こそぎ消えていったのに未だそびえ立つピラミッドを思うと、なおさら感慨深いものがある。


ピラミッドから数百メートルの距離に近づくと、向こうからラクダを引き連れた男が声を掛けてきた。

男「ピラミッドまで乗っていかないか?100ギルだ」

5人「馬車があるっちゅうねん(汗)」

ア「結構だよ!」アミンが手を払うような仕草で言った。

男「よし、50ギルにマケよう!」

5人「だから馬車があるっちゅうねん(汗)」

しかしこのラクダ引きもまた、法外な値段をふっかけてくる習性のものだということを一同は理解した。

昔は聖なる神殿だったようだが、今ではこのような者たちに囲まれているのか。

物事とはときに、巷の評判とは大きなギャップを持つ。昔そうであったからといって、今もそうだとは限らないのだ。

昔聖なる場所だったからといって、今も聖なる場所だとは限らないのだ。


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