エピソード110
マゴットはまず、自分と兵士2人を乗せて試験飛行を試みた。
女王は「なぜ私を乗せてくれないの?」と寂しそうに言ったが、「危険が伴いますから、体の強い兵士を選んでいます」と学者が言うと、なるほど、と堪忍した。
気球の袋はふわふわと浮かんでいく。学者と兵士はおもりをはずす。
すると、気球本体も地面から離れて浮き始めた!
おぉ!
そのまま気球はふわふわと舞い上がり、お城のてっぺんよりも少し高いあたりで、盆地の中をぐるっと周ってみせた。
そして同じ場所へ戻ってくる。
「おぉぉぉぉ!!!」大歓声が沸いた!
マ「まだ操作に慣れませんが、どうにかなりそうです」
マゴットと数名のスタッフを残して、一同は生活に戻っていった。
れいは玉座で女王と話す。
れ「ガスを止めれたらなと思ったんですが、それは上手いアイデアを思いつきませんでした」
女「いえ、いいのよ。あの炭坑はもう、ガス専用でもよいのです。
石材を採るための穴は、また別に掘ることが出来ますからね」
本当に、たくましい女性たちだ。
その日もれいは、ガーデンブルグに泊まることにした。
いや、城ではなく城下町に泊まることになった。昨日食堂で話したラナとルナが「うちに泊まりに来ないか」と誘いかけたのだった。
2人はマゴットの飛行実験にも顔を出していた。
3人で町の中をぐるっと散歩した後、れいは二人の家に招き入れられた。
家の中には、2人が作ったというお花を使った飾りもので溢れかえっていた!
れ「すごいわ!美術館みたい!」
ラ「えへへ。どこの家もこんなものよ」
ル「れいも一緒にやりましょう」
ガーデンブルグの女性たちは、根っからに植物が好きだし、根っからに美術が好きであるようだ。
しかしれいは、姉妹との会話によってさらに驚かされるのだった。なんとこの国の女性たちは、兵士以外も多少なりとも戦闘が出来るというのである。
まず最初に女性たちは、ダンスを習う。ダンスをやっていると、自然と体力が付く。
体力が付くと、家の建築や薪割りなどの力仕事に抵抗がなくなる。またこの国では、「薪割りは男の仕事」などという考えを植え付けはしないのだから、少女の頃からオノを持って薪を割る子に育つ。
そして刃物を持ったり重いものを持ったりする中で、戦闘への耐性が身に付いていくのだ。
誰もが、国境の兵士にランチを届けにいく程度の遠出は出来るようになっていく。
ただしこの国の民は、魔法は得意でないのだった。
夕飯を食べ終えた頃、なんと城から来客があった。学者のマゴットだ。
そしてれいに対して、こんなことを言った。
マ「れいさん。死ぬ覚悟はありますか?」
れ「えぇ!?」
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