エピソード130
勇者の洞窟は北西にあるという。
新しい武器と防具の威力を少し試し、戦闘能力の大幅なアップを実感すると、意を決して勇者の洞窟へ向かった。
洞窟はそう遠くないのだった。大勢の冒険者がここに訪れていておかしくないだろう。
洞窟は噂のとおり、真っ暗である。《レミーラ》で灯りを点ける。手強い魔物たちはこの洞窟の奥から出てくるそうだが、ラダトーム付近の平原よりもこの洞窟内のほうが魔物との遭遇率が高い。洞窟を最深部まで攻略するのが厄介だ、とも言えるが、王の報奨金のおふれをこなしたい者にとって、ここは戦闘効率が良い、とも言える。
戦闘を繰り返したかったれいも、「もっと早くここの下見に来ればよかった」と思ったが、悔やんでも仕方ないことだ。
洞窟は迷路のように入り組んでいた。そのうえ魔物が出る。とても厄介なダンジョンだ。それが「勇者の洞窟」と呼ばれているのはなぜなのだろう?旅をすればするほど、疑問が増えていく。困ったものだ。
地下2階に降り、さらに進むと、最深部とおぼしき場所に到達する。
そこにはなんと、大きな石碑が待ち構えていた。字は読める。
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私の名はロト。私の血を引きし民よ。
ラダトームから見える魔の城に渡るには、3つのものが必要だった。
私はそれらを集め魔の城に渡り、魔王を倒した。
そして今、その3つの神秘なるものを3人の賢者に託す。
彼らの子孫がそれらを守ってゆくだろう。
再び魔の城に悪が蘇ったとき、それらを集め、戦うがよい。
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