エピソード171
れいは台座の淵まで歩き、その高台から風景を眺めた。
ただただ風の音だけが流れている。
やることがなくなってしまった。
ここからどの方角に行けば町や村があるのか、まったく情報がない。どうしよう?
れいは太陽を探した。まだ日没までには時間がある。15時くらいか。
れいは祠の群れに戻る。象に会いに行くかのように、角の祠に向かう。
なんとれいは、そこからしらみつぶしに、祠の扉の彫刻を、むんと押しはじめた!
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
れいはめげなかった。
また次の祠に移り、扉を押してみる。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
しかし、なんと、100の扉を過ぎた頃、なんと扉はゾゾゾゾと音を立てて動いてしまった!!
れ「うそ・・・!?」
自分自身で、そのために押していたくせに、れいはたまらず仰天する。
動いた扉のその床に、下へと続く階段があった!
れいは恐る恐る、その暗い階段を降りていった。
階段を降りたその先には、なんと町が広がっていた!
地底都市、とでも言うのだろうか。
遺跡の土台となっていた台座よりも、広いようである。台座のさらに下に広がる地下だ。町の端は見えない。どれくらいの民家があるか、その位置からは判別が出来なかった。
太陽の光など差しこむはずもないが、この町は明るかった。《レミーラ》のような魔法のチカラを使っているのだろうか。
いわば巨大な地下洞窟である。しかし鍾乳洞のようなおどろおどろしさはない。
人の姿があり、穏やかに行き交っている。いいや、歩く姿はそう多くない。人の容姿は異星人のようでも怪人のようでもなく、おそらく東メボンに住んでいた、れいと同じ普通の人間だ。
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