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エピソード20 『トランク1つで生きていく』

エピソード20


話は続いた。

「そういう点から言うと、

 私もう、沖縄にもトキメかなくなっちゃってて…」

「それって、『沖縄に』じゃなくて、

 『那覇に』か、または『まりりんに』じゃなくて?」

「あ、そうかもしれないです。まだ沖縄ぜんぜん見てないです。」

「沖縄の全部が国際通りみたいなわけじゃないから、

 もう少しいろんなところを見て周ったらいいと思うよ。」

「でも私、観光目的で沖縄に来たってわけじゃないんです。

 観光もしたいけど、暮らしがメインなんです。

 もうベッド代はタダじゃなくなっちゃったから、前より働かなくちゃ。

 観光ばっかりもしていられないんです。」

「そうだね。ノマドやってるんだもんね。

 暮らしと観光が7:3くらいなその感覚は、言ってることよくわかるよ。

 もっと落ち着く町や宿を探してるってことでしょ?」

「そうですね。『まりりん』にずっと居たいとは思えなくて…」

「与那国島とか、どう?

 キレイな目をした男の人が、優しい宿をやってるよ。

 1泊2,000円で泊まれるし、婆ちゃんが食事サービスしてくれたりするんだよね。

 気前がいいんだよ、すっごく。儲けなんてぜんぜん考えてないの。」

「与那国島って、どこにあるんですか?」

「西の西だね。日本の果て。むしろ台湾に近いね!」

「えー、ちょっとイメージ沸かないなぁ…」

「離島はまだ、ハードル高いかな?

 じゃぁ南城市は?沖縄本島の東側。」

「それは近いんですか?」

「うん。バスで1時間くらいで行けるよ。

 観光地も観光客もあんまり多くないから、落ち着けるよ。

 そこで最近、僕の友人が民泊始めたんだよね。女の人だよ。」

「民泊?」

「そう。ゲストハウスをさらに小じんまりさせたようなもんかな。

 『家族を超えた家族を作りたい』って、彼女も言ってる。

 ハナちゃんさっき、『自分から申し出て助け合うのは楽しい』って、言ってたでしょ?

 同じようなことだと思うね。きっと気が合うよ。」

「いいですね。1,000円で泊まれますか?」

「いや、1,000円じゃ厳しいな。

 1,000円で泊まれるのは、沖縄でも那覇だけだよ。

 それ以外だと、ドミでも2,000円はするね。」

「2,000円かぁ。1ヶ月で6万円… 

 私、月に10万くらいしか稼げないんです。バイトすればいいかな、また。」

「どうにかなると思うよ、今なら。」

「今なら?」

「うん。まだ彼女、始めたばっかりでね。

 お客さんいないから、安い値段でも泊めたがるんじゃないかな。

 『ときどき店番するから、3万でお願いします!』とかお願いしたら、

 案外OKしてくれるんじゃないかな?」


私は、タカユキさんのお友達に連絡を取ってみました。

タカユキさんの予想通り、1ヶ月3万円でもOKしてくれました。時々の店番付きで。

けれど私は、

すぐに新天地へ向かったりはしませんでした。

タカユキさんという人と、もう少し話してみたかったから。



『トランク1つで生きていく』

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