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エピソード21 『名もなき町で』

エピソード21

待ちわびた客はめっきり来なくて、僕はほとんど一人ぼっちで過ごした。

1日に1回くらいはタコ八が様子を見にきて、小言を放って去っていく。

そして2日に1回くらい、加藤さんが様子を見に来てくれる。

それに、街まで買い物に出る際は、僕にも一声かけてくれる。

伊座利の集落までは歩きでも出られるけど、

かといって、まともな店なんかありゃしない。

すると伊座利の人々は、車で30分走って街に出ないと、買い物ができないんだよ。

僕は車も無ければ免許も無いので、

加藤さんの車だけが、街にくり出す貴重な手段だった。



加藤さんは都会出身のIターン者で、ちょっと前に家族みんなで来たらしい。

奥さんと4人の子供がいる。

こっちに来てから素潜り漁を会得して、村の男たちと同じようにそれで生計を立ててる。

伊座利の主な収入源は、アワビや伊勢エビの素潜り漁なんだ。

でも、これらは高級食材だから、

一年のうちの何ヶ月かだけ頑張れば、生計は立てられるらしい。

それ以外のときは、タコ八みたいに村をブラついてるか、

村の過疎化阻止のために、みんなで会議してるよ。

村全体が、かなりのんびりしてるよ。

加藤さんはヤギみたいにのんびりした人だから、

伊座利の風がフィットするんだろうと思う。


街への買い出しには、加藤さんの子供たちもよく同行する。

4人とも総じてシャイで、僕ともあんまり会話しようとはしなかった。

だからあんまりよく覚えてないんだけど、一番上の子は女の子だったな。小6か中1か。

可愛らしい顔して、いっつもミニスカートばっかりはいてた。

加藤さん、愛娘がこんなに露出してて、心配にならないのかな?

短いミニスカートはいて、屈託なく笑って、

そんで集落の川原をいつも元気に駆け回ってた。男の子みたいに。

時々いるんだよ。こういうフシギな魅力の女の子が。


『名もなき町で』

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