エピソード22 『トランク1つで生きていく』
翌日、タカユキさんは玄関で私を見送ってくれました。
「いいかい?
キミがこれから、旅ガラスな人生を生きるんであれば…」
「はい?」
「誰と話すか、誰とツルむかは、キミ自身が主体的に決めたほうがいいよ。
人間関係で、受身になりすぎないこと。
女の子はとかく、シャイで受身な子が多いけど、
見知らぬ人たちばかりの中で受身なままでいると、
話しかけてくるのはたいてい、ナンパ気質のオトコばっかりだから。僕みたいにね。あはは。」
いや、あなたは違う。
「慎重に人を見極めなくちゃいけないし、人間観察力も付けなきゃいけない。
誰にアドバイスを請うかも、慎重に決めなきゃいけないよ?」
「はい。『まりりん』みたいなところに近寄っちゃいけないんですよね?」
「ううん。そうじゃないんだ。」
「そうじゃないの?」
「自分に合わなそうなところでも、時には出入りしたらいいよ。
お金の問題とかあるし、臨機応変に活用したらいい。
『8割の客は自分と合わないだろうな』って、理解してることは大事だけど。
でも、『まりりん』みたいなところで親友が作れないかといったら、そうでもないんだよ。」
「そうなんですか?」
「傾向っていうのは、あくまで傾向だからさ。
8割の客は『まりりんテイスト』だろうけど、そうじゃない客だって少しは来るから。
そういう少数派は、キミと感性が合うかもしれないよ。
そういう少数派を見つけるには、
『バーベキューに行かない人たち』を、見逃さないことさ。
…これはあくまで、比ゆだからね?」
「避難所に行かない人を、見逃さないようにすること。」
「そう。そういうことさ。
少数派同士ってのは連体しやすいし、意気投合しやすいから、
むしろ『合わない場所』のほうが、親友を作りやすいかもしれないよ。」
「うん。ありがとうございます!」
『トランク1つで生きていく』



