エピソード25
漁村留学のイベントを終えた頃、
キャンプ場イザリーヌにも、ようやくお客さんが訪れた!
当日にイキナリ予約の電話が入ったから、ビックリしたよ。
大阪の若者が4人、道に迷いながら車でやってきた。
迷ったせいもあるんだろうけど、夜の8時にキャンプ場にやってきたって、
やることなんて何もありゃしない(笑)何しに来たんだ??
なんでも、突発的な旅だったらしいよ。
良いセンスしてる。奥田民生の親戚じゃないの?
彼らは、真っ暗な中、外でバーベキューをすると、
僕にも料理をおすそ分けしてくれた。
僕は、従業員というよりも彼らと同じ客のような立場で、
彼らとの談笑を楽しんだ。
こういうラフな付き合いが、ゲストハウスは楽しいんだ♪
翌週にもまた、団体客がやってきた。若者ばかり20人くらい居たかな。
彼らは逆に、明確な目的を持ってた。
敷地内のあのサッカーグラウンドみたいな広場で、手作りライブをやるんだと!
アンプやスピーカーまで持参してきて、ステージもジブンたちで設営してる。
野外フェスを模しているようだけど、100倍くらい貧相だった(笑)
でもさ?
出来合いの野外フェスを観覧するより、100倍くらい楽しそうだったよ♪
手作りってのは何にせよそうだけどさ、
大自然の中で、誰にもジャマされずに音楽イベントを作り上げるのは、
ものすごく面白そうだった。
若いといっても30歳前後のミュージシャンが多いらしく、
すると、妻帯者が多かったりするんだ。
その奥さんたちが、彼らの手作りイベントをしっかり盛り立ててるんだよ!
ステージ設営の間に管理棟のキッチンに押し寄せてきて、
みんなで夢中で、バーベキューの下ごしらえをするんだ。
お米なんかも大量に炊いて、冷めないように広場に運ぶ。
何人かの奥さんは、和室にこもって子守をしてる。乳幼児が3~4人いるからさ。
料理も子守もとても大変だろうけど、
グチりもせずイヤな顔もせず、男たちのために頑張ってる。
そしてライブが始まれば、日焼けを恐れもせずに芝生に座り込んで、
手拍子しながら声援を送る。
案外、美人が多かったりするんだ。
美人なんて、尽くされたがりのワガママ人が多いんだけど、
彼女たちは美人でありながら、夢追いミュージシャンを健気にサポートしてる。
美しく献身的な女性に愛されて、彼らはとても幸せだろうなぁ。
四国には、こうした献身的な女性が多いらしいよ。
『名もなき町で』