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エピソード31 『名もなき町で』

エピソード31

そうして、20キロばかしもボーっと歩いてみたら、

もうわかちゃったんだ。

お遍路ってモノが何なのか、真の目的(ゴール)が何なのか、

お遍路文化の現状がどれほどゲンメツか、わかっちゃったんだよ。

それでもう、

精神修行としてのお遍路には、あんまり興味がなくなっちゃったな。


それでも歩く。

どうせ他にはやることナイし、泊まるところナイし、

お遍路道沿いのほうが野宿もしやすいし、

それに、誰かや何かに出くわすかもしれないし♪

僕は、経験的に知ってるんだ。

パワースポットに類するような場所って、

そこの神職者や管理者は大して魅力的じゃないんだけど、

そこに集う人々の中には、面白い人が多いんだよね。

まるで釣り堀に糸たらす釣り人みたいに、何かが食いつくのをワクワク期待しながら、

僕は黙々と歩いた。



それから3日目だったか4日目だったか、

とにかく、お盆の暑い盛りだったよ。

僕はまだ、四国の南の海岸沿いを歩いてた。

夕方になっても気温は下がらず、照りつける太陽は暑かった。


僕は、「ひこうき」という喫茶店の前をとおりかかったんだ。

店の前では、小さな女の子とおばあちゃんがケラケラ笑ってた。

女の子は、ホースを振り回しながら、いたずら半分に打ち水をしてた。

僕の通行に気付いたおばあちゃんは、

「ほらほら!ホースを内に向けなさい!」と女の子に注意した。

女の子は聞き分けがよく、すぐにハシャぐのをヤメた。

けれども僕は、その子にこう言ったんだよ。

「ちょうど良かった!暑くってさぁ。

 お兄ちゃんの顔に、バーっと水をかけておくれよ♪」

イタズラが公認された女の子は、満面の笑顔になって、

そして潔く僕にホースを向けた。

僕は本当に気持ちがよくて、そして高らかに笑った。


おばあちゃんは、

「お遍路さんなのね?

 良かったら、お店に寄っていきなさいな。涼しいわ。」

と、僕を促した。

僕はもう、飲食店に対して、「お接待」は期待していなかった。

残金が1万円もないから迷ったけど、

「コレも何かの縁だなぁ」と思って、店に入ることにしたんだ。


店の中は涼しかった。内装はシックで、好感が持てる。

夕方の中途半端な時間で、お客はほとんどいなかった。

店のおばさんが僕に気付き、そしてカウンター席に座るよう促した。

僕は、野菜炒め定食を、肉抜きで注文した。


おばさんは、料理を待つ傍ら、話をはじめた。

「あなた、お遍路さんなの?そうは見えないけど…」

「えーと、一応、お遍路さんですね(笑)

 ここ5日くらい、しこたま歩いてますけど。」

「どうしてそんなに身軽なの!?

 お遍路さんってフツウ、大きなリュック背負って歩くのよ?」

「ですよね(笑)

 でも、みんなと同じことやっても面白くないじゃないですか♪」

僕は、いつもの調子でヘラヘラと持論を述べた。

「は?みんなと同じだろうが同じじゃなかろうが、面白いもんではないでしょう!

 お遍路って、修行なのよ!?」

「そうかもしれないけど…

 修行を楽しみながらやっちゃ、ダメなんスかねぇ?」

「!?」

お遍路修行者にしてはあんまりにも突然変異なので、

おばさんは、えらく僕に興味を持ったらしかった。

そのまま、旦那さんも交えて5時間くらいも話し込み、

食事どころか、寝床の提供まで申し出てくれたんだ!


おばさんは、近所の友人に電話をかけた。

その友人が、更に良い寝床を提供してくれるかもしれないから。

話はすぐにまとまり、閉店後に近くの海岸で落ち合うことになった。

店が閉まると、おばさんは僕を、車で海岸まで送ってくれた。


海岸に待っていたのは、

1つの家族だった。

お姉ちゃんに、お姉ちゃんに、お兄ちゃんに、お姉ちゃんに、少年に、お父さんに、

…あれ?お母さんは??

と思ったら、

お姉ちゃんだと思った女性の一人が、その一家のお母さんだった(笑)

お母さんは、もう48歳だとのことなんだけど、

尋常じゃないくらい若く見えた!

若いだけじゃない。ものすごい美人だ!

声もかわいらしく、愛想も良い。


『名もなき町で』

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