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エピソード33 『名もなき町で』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月15日
  • 読了時間: 3分

エピソード33

僕の寝床は、家の裏手にある6畳の離れだった。

建築現場とかにあるようなプレハブ小屋、知ってるでしょ?アレだよ。

もともとは、タカちゃんの寝床にするために建てたらしいんだけど、

お遍路さんたちに気軽に貸し出しているらしいよ。

部屋にはベッドが置いてあり、

窓やドアには虫対策の網カーテンがしっかりしつらえてあった。

こんな上等な部屋に寝かせてもらって、いいの!?


とはいえ、

1週間も経たないうちに、僕はこの部屋を譲り渡すことになる。

なぜかというと、

ミユキさんの次女ユリちゃんが、この家に引っ越してくることになったから。

お盆に遊びに来てみたら、想像以上に徳島が気に入ってしまったらしい。

家出まがいに大阪を出てきて、

荷物はダンボールで送ってもらい、

ものすごく強引に転校も受理させて、ずっとここで暮らすことになったんだ。

どうしてもやりたいことってのはさ?

こんなふうにゴネれば、なんとかなるらしいよ(笑)

事後報告で良いのさ。それで何とかなるんだよ。

…しょっちゅうはやんないほうが良いよ?

みんなに迷惑かけるし、嫌われちゃうからさ。

でも、どうしてもやりたいことなら、そういう強引なのもアリさ。

人生に1度か2度か4度くらいは、ね。


さらに!

立て続けに、もう1人同居人が増えた(笑)

ニールという、摩訶不思議なオッサンだ!

彼は、かなり摩訶不思議だと思う。

「ニール」と名乗っているし、髪は長いドレッドで、日本語はたどたどしいんだけど、

生粋の日本人だったりする(笑)

なんでも、若い頃にインドで生活していたらしい。

ラジニーニ和尚という有名なスピリチュアリストの弟子をやっていたらしく、

ニールという名も、そこで授かったらしい。

和尚のコミューンの中で、自給自足生活のノウハウを会得していて、

カレー作りはもちろんのこと、火おこしから太鼓作りまで、何でもござれだ!



僕が「ひこうき」の前を通りかかってから数日間で、

めまぐるしくたくさんの偶然が重なったけど、

コレらはホントに、ホントの話なんだ。

映画よりも映画みたいで、小説よりも小説みたいだよ(笑)


スピリチュアリストたちはこういうのを、

「天の計らいだ!」とか言うけれど、

実際のところこれらの出来事は、「天の計らい」なんて微塵も関与してない(笑)

ホントに、偶然なんだ。奇跡的な偶然。

当時の僕は、ペンジュラムを回したりはしていなかったし、

チャネラーは、このメンバーに一人も存在していない。


ちなみに、

伊座利での出来事も、単なる偶然だったんだよ?

僕のマイミクさんが「伊座利に行ってみて!」と言ったのは、啓示だったわけではなく、

単に彼女が、田舎移住の候補地として、伊座利が気になってたからなんだ。

マイミクである僕を派遣することによって、伊座利の情報を得たかったんだよ。

美波町という地名と「A beautiful wave」という曲名が重なったのも、

単なる偶然なんだ。すっごい偶然。アホみたいなハナシだよ。

まったくの偶然に、美波町に伊座利があり、僕の持ち曲に「美波」があったんだ。

その伊座利にキャンプ場があったのも、単なる偶然。

タコ八が、「コイツにキャンプ場を任せてみよう」と思いついたのも、偶然なんだよ。


当時の僕は、「シンクロだ」「導かれている」とカンチガイしてたから、

恐れもせずにどんどんと、無謀な道に飛び込み続けたんだよね。

結果的に、たくさんの善人に助けてもらって食いつなぐことが出来たんだけど、

それはもうホント、偶然と善意の賜物にすぎないんだよ。神秘じゃなく人為なんだ。

守護存在たちからすれば、ハラハラドキドキでしょうがなかったらしいよ。

1つの歯車でも狂っていたなら、僕は飢え死にしていたかもしれないんだ。

1つの善意でも欠けていたなら、僕は飢え死にしていたかもしれないんだ。



これだけワラワラ同居人が増えても、

ミユキさんはケロっとしてる。

みんなの分のご飯を作り、みんなの分の衣服を洗う。

それで、綾瀬はるかみたいに可愛くニコニコ笑ってる。


『名もなき町で』

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