エピソード34
2階への階段が見えた。そこには何か、台座があり石板が掲げられている。
『あなたの祖母の名前を書け』
なんだこの指令は!?
れいにはローズの他にもう一人の祖母がいたが、思い入れがあるのは圧倒的にローズである。思い入れの問題ではないのかもしれないが、深読みしても仕方ないのでローズの本名をフルネームで記入してみた。
すると・・・
ヒィィィン・・・!
石板がまぶしく光輝いた!
そして、その上の台座に、立派な杖が姿を現した!
杖には手紙が添えられている。
れ「なにこれ・・・?」れいは杖と手紙を手にとってみた。
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愛しのれい
あなたはここに訪れたのでしょうか?
もし来ることが出来たとしても、きっと魔法使いとしては修行不足でしょう。
お婆ちゃんからのささやかな手助けです。
これは《マグマの杖》。意識を集中して振りかざすと、イオの魔法が発射します。
イオはメラよりもすごいですよ!なんと、目の前の魔物すべてに効果が及びます。
ただし、この杖が使えるのはこの塔の中だけ。
自分の弱点がわかったなら、次の修羅場のときまでにその克服に励みなさいね。
愛を込めて ローズ
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人はそれぞれに親や親族を持つ。
学校の中で同じ教育を受けて育っても、家族から与えられた影響がその人の個性や強みを形成していく。
人が一人前に育つには時間がかかる。それまでの間、親や親族の後ろ盾に守られながら、未熟さをカバーして試練を乗り越えていくのだ。
祖母もおらず、親すらもいない人もいる。
しかしあなたは、それゆえ人よりも強く育っているだろう。「いない」ということが、親族からあなたへのギフトだったのだ。
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