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エピソード40 『天空の城』

エピソード40


再び魔物が現れた!

全身に重厚な鎧をまとった、さまようよろいが二体だ!

デ「こいつ、強いぞ!」れいの目を見ながら叫び、そして自分は先陣を切った。

れいはヨーダに言われたことを思い出し、《スカラ》で身を固めた!

デイジーも敵も典型的な戦士。激しい剣の討ち合いが見られるかとワクワクした。

が、デイジーは《マヌーサ》の魔法で相手2体を目くらましすると、背後に回り込んで膝裏に大きな一撃をお見舞いした。さまようよろいAは倒れ込んでもがいている。デイジーは飛び上がり、真上からとどめをさした。

れいは《ヒャド》を唱えた。さまようよろいBの腰部を凍結させ、ダメージを与える。

動きの自由を奪ったところを、デイジーがまた、華麗にとどめを刺した。

デ「ふう」デイジーは涼しい顔で剣をさやに収める。


デ「つまらない戦いをしやがって、という顔をしているな」れいがぽかんとしているのを、察して言った。

れ「いえ、そんなことはないのですが」

デ「本当に強い戦士は、チャンバラごっこをしないもんだ」

れ「え?」

デ「キンキンカンカンと、ジャブを撃ち合い、ジャブを防ぎ合う戦いは、不毛でしかないんだ。

 周りから見れば迫力があるのだろうが、ただ体力を消耗するだけで不毛だ。

 フェンシングのスポーツならそれも良いのだろうが、生死をかけてダンジョンを攻略する戦士には向かない。

 激しい連戦をくぐり抜けるためには?魔法使いは魔力の温存がいる。戦士は体力の温存がいる。

 最低限、必要な回数だけ剣を振ればいいんだ」

れ「一人で戦い続けるためのコツ!」

デ「そうだ」

れいがイムルで学習したことだった。戦士は戦士で同じような課題があるのか。剣を振っても魔力は消耗しないが、たしかに体力だって有限である。

れいもキンキンカンカンと討ち合いをしないが、それは「出来ない」からである。細かく連続して剣を繰り出すことは出来ないし、敵の攻撃を器用に剣で防ぐことなどまだ出来ない。



やがて二人は砂漠のバザーに到着した。

大勢の商人がテントを張り、風呂敷を広げ、商売をしている。武器屋、防具屋、道具屋はもちろんのこと、食堂や骨董品屋、サーカスか何か見世物のテントもある。見たことのない、珍しいものがたくさん並んでいる。

れ「でもインチキな商売人が多いから気を付けろ、と言われました」

デ「そうだな。オレはそれなりにモノを知ってるし相場も知ってるから、今度はおまえを守ってやれるよ」

それなら何か、買い物も叶うかもしれないぞ。


武器屋のエリア、防具屋のエリア、というように、似たアイテムが同じ場所にかたまって売られている。

防具のエリアに通りかかったとき、れいはふと思った。

れ「さっきみたいな戦士の敵に遭ったら、私すぐに死んでしまいそう。《スカラ》が使えるようになったけど、それでも剣で斬られたらたまったもんじゃないです。でも鉄の鎧なんて着れそうにないし・・・」

デ「鉄製の鎧が重いだけでなく、女らしい装いを保ちたいのだろう?」

れ「そ、それもあります」

デ「良い手がある」

デイジーはうろうろと品定めをした。

デ「これだ」デイジーが手に取ったのは、《くさりかたびら》だった。細い鎖で織られたワンピースのような防具だ。

れ「たしかに鎧より軽そうだけど、これでもちょっと無骨かも・・・」

デ「だからこれを、服の内側に着ればいいんだ。

 《サフランローブ》の内側にこれを着ればいいんだ。

 そうすれば見た目はワンピースだが、剣での攻撃を受けても《くさりかたびら》が守ってくれる」

れ「すごい!」

デ「親父、この《くさりかたびら》は幾らだ?」

商「300ゴールド」

デ「うん?安すぎるんじゃないか?」

商「安くてモンク言うやつがいるか?」

デ「何か不備があるな?」

商「鋭いなぁアンタ。

 中古品でね。裏地に少し綻びがあるんだよ」

デ「危なかった!

 オレならこれでもいいが、れいは新品を選んでおいたほうがいい」

デイジーは慎重に品定めをして、良さそうなものをれいに手渡した。

商「350ゴールドになるよ」

デ「いいだろう。相場通りだよ」

れいは安心して《くさりかたびら》を購入した。

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