エピソード41
次は武器のエリアだ。なんだか珍しい形の武器がたくさん並んでいる。ひょっとするとわざと、剣ではない形の目惹きする武器を充実させているのかもしれない。
デ「こんなのどうだ?」
デイジーが勧めてきたのは、《モーニングスター》という武器だった。鎖の先に小さな鉄球が付いている。鎖を振り回して鉄球を敵に当て、ダメージを与える構造の武器だ。剣とはまったく違う代物である。
れ「こ、こういうのは私にはちょっと・・・」いつぞや、《くさりがま》を勧められて面食らったことを思い出した。
れ「剣しか振れないんです」
デ「察している。でも敢えて勧めてみた。
《ホイポイ》は使えるんだろう?」
れ「はい」
デ「だから《青銅の剣》は売らずにキープしておくんだ。
こういう変則的な武器も、余裕のあるときにちょっと試しておくといい。戦闘の視野が広がるだろう。
それに剣とは異なる筋肉を鍛えられるから、回り回って剣の腕も上がる。
《モーニングスター》ってのは元々、刀を持ってはいけない僧侶のために開発された武器だが、下手な剣より容赦ない破壊力を持つ」
れ「そうなんだ・・・」
デ「魔物は動物とは違って、切り刻めばいいってもんでもないからな。
知ってるだろ?魔物は、致命傷を与えさえすれば消滅して宝石に変わる。
鉄球をぶち当てたって大きなダメージは与えられるよ。
剣が一番強いように思えるが、そうでもないんだ。敵の腕を剣で斬り落としても、大して痛がらずに歯向かってくる奴なんかもいる。仕組みはよくわからんが動物とはちょっと違うんだよな」
れ「やってみようかな」今ならちょっと変わった武器にも、挑戦してみてもいいかも、と思えた。
デ「親父、これは幾らだ?」
商「1300」
デ「1250だ」
商「チっ!わかったよ」
イムルで貯めたお金にはまだ余裕があった。思い切って買ってみよう。
デ「金は大丈夫か?場合によってはオレが出してやってもいいが」
れ「えぇ。大丈夫です」
2人で食事をし、2人でテントの簡易宿に泊まった。
旅慣れた女戦士との交流は、れいにとって非常に新鮮なものだった。面白い。
デイジーにとってもれいとの交流は面白かった。誰かに手を差し伸べたいと思っていたが相応しい相手が見つからない。れいに色々教えてやるのは有意義なことに感じられた。
デイジーは砂漠のバザーで何か探し物をしたいらしかった。しかしそれは見つからないようで、肩を落としていた。いいや、悲しみすらも感情表現の薄い人間だった。
翌日は、デイジーが付き添ってくれている中で《モーニングスター》の練習だ。もちろん実地。魔物に相対してぶっつけ本番である。
えぇーい!れいは気合を入れて《モーニングスター》を振り回した。よくわからないが扱えないこともない。ダメージを与えられれば何でもいい。
そして思わぬ発見があった。例の難敵さまようよろいは、剣で斬りつけるよりも《モーニングスター》で打撃的ダメージを与えたほうが倒しやすいようだった。