top of page

エピソード72 『天空の城』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年7月21日
  • 読了時間: 2分

更新日:2024年9月16日

エピソード72


さて、そろそろいい加減、宿に帰るぞ、と思った。

しかし・・・

自分のホームステイ宿がどこだかわからなくなってしまった!

辺りはすっかり暗くなり、カラフルなはずの色もよくわからないし、そうでなくとも迷路のようなこの町で、どこをどう戻っていいかわからない。

旅の困難というのは色々な種類があるものだ。宿に戻れないというのも地味に困る。一晩中歩き続けるわけにはいかないぞ。

れいはさっき助けた民家に戻った。

格好よく立ち去ったのに、なんとも情けないが、

れ「道に迷ってしまいました。この家がどこかわかりませんか?」とマーレが書いてくれたメモ紙を見せた。

女「うーん。人の多い町ですからねぇ。マーレという人を私は知らんです。

 でもホームステイが多いのはもっと東か、逆にもっと西ですよ」

正反対だ!

女「どちから来なすったんで?

 ボンモールから山を抜けてきたんで?」

れ「そうです。そうです」

女「じゃぁ東だ。町の東側ですよ。

 そっちまで歩いたら、またその辺で聞いてみたらいいです」

れ「ありがとうございます」

れいは言われた通りにしてみた。女の指さす東の側へ、しばらく歩く。

そこで立ち止まり、道行く人に尋ねてみる。

男「マーレ?シランなぁ。

 何色の壁のホームステイだ?」

れ「紫色だったと思います」

男「そうか。じゃぁ少し上だな。少し坂を上りな」

そしてまた坂を上り、道行く人に尋ねる。

男「すぐそこだよ。まっすぐ行って3軒目か4軒目だ」

あった!ようやく帰ってこれた!

迷路の町は迷路の町なりの、暮らし方があるようだった。

冒険者たるもの、こうした知恵も心得ておいた方が良いのだ。

マ「だから言っただろ。早く帰ってくるんだよって!」

こんな事情だなんて、露にも思わなかったれいだった。

bottom of page