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第30章 テパ

第30章 テパ


テパを目指して、二人は宿を出た。

リ「まだ遠回りが必要みたいね!

 炭坑攻略はしばらくあきらめて、まずは《水の羽衣》をゲットしに行きましょ」

マ「そのお洋服、可愛いかなぁ~」

リ「羽衣って言ったら天女のお召し物だからね!きっと可愛いわ♪」リオは精いっぱいマナのモチベーション維持に努めた。


アネイルを南下して歩いていく。

《ようがんまじん》には苦戦したが、《テベロ》も《とさかへび》も、今となってはあまり強く感じられない。こちらも強くなってはいるのだ。しかし敵は次々とその予想を超えていく…その連鎖をRPGはお約束通り保っている。

南へ進むと森がちになった。しかしカザーブの北部ほど不穏な空気ではない。同じ森でも色んな森があるのだな、と二人は思った。冒険とは、ある意味観光旅行である。

地形が変わると出現モンスターの毛色も変わり、今度は野蛮なサルみたいなモンスターが力まかせに殴ってきたり、ヤリを持った猪が二足歩行で襲い掛かってきたりした。文明が進んでいるのか太古なのかよくわからない。

少々の苦労の末、お目当ての村には無事辿り着いた。


テパは、森の中に潜む素朴な小さな村であった。原住民族の隠れ里、といったものなのであろうか。

看板らしきものがなく、つまり店とおぼしきものがない。

「こんにちは」とあいさつをすると、「君たちも《水の羽衣》を求めてやってきたのか?最近そんな旅人ばっかりだ。やかましくてかなわん」と村の人は愛想を尽かしている。


村の中の小さな家に、尋ね人は住んでいた。

リ「ドン・モハメのお爺さん。アタシたち、あなたの最高傑作がどうしても必要なの!

 こんなに可愛い女の子が、《ようがんまじん》の炎で焼き尽くされちゃったらそんなのって嫌でしょう!?

 どうかお願いします!」

マ「あははは(汗)」

リオは、ここまで来て「引き返せ」などとは言われたくないので、先回りで懸命に力説するのだった。そして、「リオもゲームのキャラみたいになってきたなぁ」とマナは思った。

ド「おぉ、それはご苦労であったなぁ。 わしは旅人に意地悪をするつもりもないんじゃが、どうにも織ってやることは出来んよ」

マ・リ「えぇ、どうして!?」

ド「あんまりにも注文が殺到しすぎじゃ。《水の羽衣》の材料となる《あまつゆの糸》はもう底を尽きてしまったわい。

 材料さえ調達してくれれば、織れんこともないが…」

マ「あれ?それ、わたし持ってる!」

リ「え!?」

ド「おぉ!?」

マ「ほらぁ」

と言ってマナが取り出したのは、《まだらくもいと》であった!

リ「ばかぁ!初心者じみたボケしてんじゃないわよ!」

マ「えぇ(汗)これも苦労して手に入れたからぁ~」いつぞや一人でクエストをやって入手したのだ。

ド「ふぉっふぉっふぉ。その糸でもよいが、茶色いタヌキみたいになるぞ!それにすばやさが下がってしまいそうじゃな」

マ「そんなのイヤぁ」


ド「それに、じゃ」ドン・モハメは居直って言った。ド「《聖なる織機》のほうも、つい先日壊れてしまったんじゃよ。おまえたち冒険者は、老人を働かせすぎじゃな」

マ・リ「そんなぁ!!」

ド「じゃから、わしはもう引退かなと思うとる。

 ゲホゲホ。体も最近しんどいしな。よろず屋すら遠く感じる」

リ「アタシたち、希望を捨てるわけにはいかないの。

 《あまつゆの糸》はどこにあるの?」

ド「この森にある。しかし余所者に入手は無理じゃろうな」

マ「どうして?」

ド「森の小川のほとりによく生えておる《あまつゆ草》の繊維にすぎんのじゃが、野草の見極めなど村の者にしか出来んじゃろう。

 駄目でもともと、そこらの若者に頼んでみるのもいいが」

リ「頼んでみよう!」

二人はドン・モハメの家を出て、村人に尋ねて回った。


村「おいおい、余所者の訪問にうんざりしてるって言ったろ!

 草刈りの手伝いなんてするわけないだろ」

マ「草刈りじゃなくて草摘みですぅぅ(汗)」

3人、4人と村人に掛け合ってみたが、誰も良い返事はしてくれなかった。マナたちを追い出しはしないが、快く思ってはいないのだ。俗から離れて暮らす者たちにとって、騒々しいのは楽しいことではないようだった。

リ「だめね。もう1回お爺さんに頼んでみようか」

二人は老人の小屋に戻る。

ド「ほっほっほ。やはりダメだったか。そうじゃろな」

リ「お爺さん。《あまつゆ草》集めを手伝ってはくださいませんか?」

ド「うーむ。意地悪をする気はないんじゃ。

 しかしわし、本当にもう体が動かんのじゃよ」

リ「じゃぁ何か、ヒントやコツみたいなものってありませんか?」

ド「《あまつゆ草》の存在を隠すつもりもない。

 シソという植物に似た葉ではあるが…」

マ「シソ?わたしシソわかるよ!」

ド「なに?まことか!?その若さで野草の知恵などあるまい」

マ「昔おばあちゃんと一緒にシソ摘んだり、煮魚に載せたりしてたよ♪」

ド「なるほど。それなら見分けられるかもしれん」

二人は村を出て、小川を探した。この森は様々な植物が多様性を構築しているが、シソを知っているマナには巧妙に見分けることが出来た。そしてマナの教えを受け、リオもすぐに《あまつゆ草》を摘むことが出来るようになった。

他のプレイヤーたちには出来そうもないことを、二人は着々とやり遂げている。そして他のパーティたちとは異なる「強さ」を、二人はまとい始めている。



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