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第39章 なかまをよんだ!

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年2月28日
  • 読了時間: 4分

第39章 なかまをよんだ!


王の間から階段を降りると、番兵に話しかけられる。

兵「投票に参戦するか?

 それなら四方の遺跡を見てくるがよい」

リ「遺跡を?」

兵「この城の四方には、4つの遺跡があることをご存じか?

 それぞれが各古の英雄にゆかりのある城や神殿の跡だ。

 その規模や立派さを見れば、どの英雄が最も英雄か、わかるだろう」

リ「ふうん」

兵「また、奇妙な噂がある。

 遺跡に訪れる者の中には、その中枢で英雄の亡霊と会ったと言う者がいる。

 本当かどうかは知らんがね。

 本当であれば、それも真の英雄を察する手がかりになるというものだ」

リ「行ってみるか」リオはつぶやいた。

マ「どこへでも、お共いたしまする」マナは能天気に微笑んだ。




町に出ると、二人に定例イベントの報せが届いた。今週末のイベントは明日の夜からの開催だ。遺跡探索に訪れる前に、定例イベントをこなしておこうと思った。きっと何か武器やアイテムの報酬が手に入る。


事前に公開されたイベントの内容は、ユニークで意外なものだった。


「《スライム》が3匹現れるぞ!?

 やっつけて豪華な報酬をゲットしよう!」


「《スライム》3匹!?」誰もが驚いた。ゲーム発売直後の最初のイベントだって、《スライム》3匹では歯ごたえがなさすぎる!一体運営は何を企んでいるのだろう?様々な推測がプレイヤーの間で飛び交っていた。

リ「あはは《スライム》3匹だって!アンタ1人で参加してみる?」

プレイヤーたちは概ね、「今回はボーナスイベントなのだろう。アークボルトの敵が手強いから、皆に強力な武器が行き渡るようにしたいのだろう」などと楽観的に考えていた。


翌日夜、イベントは始まった!

二人はHPやMPを万全にして挑む。

ボス戦イベントのようなもので、いきなり戦闘が開始された!

事前の告知通り、エリアに現れたのは《スライム》が3匹…

そして背景の壁には、《キングスライム》の姿が大きく描かれていた!

「そういうことか!」ドラクエに詳しいリオは察しがついた。多くのプレイヤーもその背景を見て察したことだろう。

リ「マナ!油断は禁物!!全力で、ソッコーで叩きのめすわよ!!」

マ「えぇ?わかったぁ!!」

リオは《氷のやいば》を振りかざした!マナ《バギマ》を唱えた!《スライム》A、B、Cはまだ息絶えない!そしてHPのゲージはまだ半分くらい残っている!

そして…!?

《スライム》Aは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Dが現れた!

《スライム》Bは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Eが現れた!

《スライム》Cは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Fが現れた!

《スライム》は瞬く間に6匹に膨れ上がってしまった!!

リ「やっぱり!!」

マ「えぇ、どういうこと!?」

リ「コイツら《合体スライム》なのよ!

 すぐ仲間呼んで、そんで8匹になったら合体して《キングスライム》になっちゃうの!!

 きっと《キングスライム》になったらめちゃくちゃ手強いわ!!

 合体する前に倒したいけど…」


リオは《氷のやいば》を振りかざした!マナは《バギマ》を唱えた!《スライム》A、B、Cをやっつけた!しかし《スライム》D、E、Fは持ちこたえ、HPのゲージがまだ半分くらい残っている!

そして…!?

《スライム》Dは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Gが現れた!

《スライム》Eは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Hが現れた!

《スライム》Fは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Iが現れた!

《スライム》は瞬く間に6匹に戻ってしまった!!

マ「キリがないよぉ(汗)」

リ「そうなのよ!

 うーん、でも合体されたらきっと勝ち目がない…

 はっ!そうだわ!」


リオは《どくがの粉》を使った!《スライム》Dはしびれてしまった!

リ「やったぁ♪マナ、あんたは《バギマ》を!」

マ「はいっ!」マナは《バギマ》を唱えた!

《スライム》Dはしびれて動けない!

《スライム》Eは仲間を呼んだ!しかし何も起こらなかった!

《スライム》Fは仲間を呼んだ!しかし何も起こらなかった!

《スライム》Gは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Jが現れた!

《スライム》Hは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Kが現れた!

《スライム》Iは仲間を呼んだ!なんと《スライム》Lが現れた!

《スライム》は8匹になった!

な…なんと、《スライム》たちが……!?

どんどん合体して、《キングスライム》に………なれない!!

《スライム》Dが《マヒ》の状態異常で動けないからだ!


リ「上手くいったわ♪

 よおし、畳みかけるわよ!!」

リオは《氷のやいば》を振りかざした!マナは《バギマ》を唱えた!

ついに、《スライム》の群れをやっつけた!!


マ・リ「やったぁ♪」

二人は抱き合い、飛び跳ねて喜んだ。

マ「いったいどうなってるの??どうして勝てたの??」

リ「ゲーム始めたばっかの頃、《ありキラー》って特性を獲得したの、覚えてる?」

マ「なんだっけ、それ(汗)」

リ「仲間を呼ぶモンスターが、1回ずつしか仲間を呼べくなる特性よ。

 それと《どくがの粉》の《マヒ》を絡めたら、合体を防げるんじゃないかと思ったの♪」


二人の頭脳戦は見事だった。

他のプレイヤーたちは《キングスライム》になるのを許してしまい、敵が強すぎて全滅するか、または《合体スライム》の仲間呼びを延々と繰り返し、MP切れになって時間制限を迎えてしまうのだった。

「誰もがクリアできる」と予想されたこのイベントは、圧倒的な攻撃能力を持つ一部のパーティと、リオのように巧みな戦略を即座に思いついた一部のパーティだけが勝ち取った。


そして二人は、討伐報酬として《王家のレイピア》を手に入れた!

S級武器の1つで、とても高い攻撃力を誇る。細身剣なので、僧侶にも装備することが出来るものだった。

リ「スゴイ!ついにアタシたちもS級な武器を手に入れたわね♪」



『僧侶だけで魔王を倒すには?』

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