第40章 しかし じゅもんはかきけされた!
アークボルトの遺跡探索に戻る。
「もう少し情報が欲しい」リオは思った。
4つの遺跡を見に行くにしても、どの遺跡がどの英雄に関連しているのか、それぞれがどんな遺跡なのか、何も知らないのだ。
効率よく情報を集めるには、と考えて、武器屋や防具屋のある賑わう通りに向かった。そして適当に食堂に入り、昼間から飲み飲み議論する人々の様子をうかがった。
男「東の遺跡が一番立派に決まってる!一番広大な城だったんだからな。さすがはアークボルト1世様だよ!」
男「何を言う!西の神殿が最も重要さ!大神官メーシア様は大きな神殿を造られた!我が民を思ってのことだぜ!」
男「違うさ!北の神殿が一番だよ!なにしろ最も高い建造物を造ったのが知将ブレイドってことなんだよ!」
男「いやいや!南の遺跡は小さいが、ホリディ様の戦績が壁画として無数に彫られてるじゃないか!」
男たちの話に耳をそばだてているだけで、なんとなく状況はわかった。リオはさっとメモを取り、それを基に探索することにした。
マ「どれから行く?」
リ「まずは東かな。とりあえずアークボルトさんのところから行くのがスマートであろう」
マ「あははリオまで口調が王様みたいになってるよ!」
リ「うぬぬ!王や権威者のようにはなりたくないぞよ!」
マ「わははは!」
東の城門から城を出て、東の遺跡を目指した。
まだ午前中。日の照る方角に向かうのはまぶしいが、それが勇ましくも感じられるのだった。
東の遺跡はとても広大だった。それこそ現アークボルトの城のように、城壁で防衛された堅牢な城下町であったと察せられる。王の居城だけでなく住民の暮らす民家や施設があったのかな、という趣だ。
どのみちは遺跡は酷く朽ち果て、そしてモンスターたちの巣窟となっていた。
王を守るために、と願いを込められて造られた彫像が命を吹き込まれたかのごとく、《ガーゴイル》や《パオーム》が遺跡を荒らしていた。すべてが朽ちて金銀彩を失っていても、居城の間取りはなんとなく察せられるものだった。二人は真ん中の真ん中を突っ切って、王の間らしき場所に辿り着く。どこか遠回りした場所に宝箱なんぞあるかもしれないが、今は後回しだ。
リ「王様さーん。いらっしゃいますかー?」リオは恐る恐る、何かの発生を促してみた。
するとだ!
噂は本当だった!
なんと、玉座らしき場所に、剣の達者な豪将らしき男の亡霊が姿を現した!
ア「そなたも私に憧れ配下になりたがる志願兵か?
よし、王自ら稽古を付けてやろう」
威勢よく一言発したかと思うと、なんといきなり戦闘が始まった!
リ「ひえ~!レイピアを手にしたばっかりだけど、チャンバラなんかやりたくないよ~」
リオの攻撃!リオは勢いよく剣を振り下ろした!《亡霊アークボルト》に125のダメージ!
リ「うひょー!アタシってば戦士並みに強いんですけど!」そのダメージ量は本当に戦士並みであった!
マナは《バギマ》を唱えた!しかし呪文はかき消された!
マ「えぇ~!どうなってんの!?
もっかい!バギマぁ!!」
しかし、呪文はかき消された!
リ「ひょっとして…『稽古を付けてやる』ってあながちホンキなの(汗)」
《亡霊アークボルト》は《五月雨斬り》を放った!
リオに43のダメージ!リオに41のダメージ!
マナに34のダメージ!マナに34のダメージ!
リ「ひえー!何なのよコイツ!」
リオの攻撃!《亡霊アークボルト》に120のダメージ!
マナは《刺のムチ》に持ち替えて攻撃を放った!ぺち。3のダメージ!
マ「ぜんぜんきかない(泣)」
《亡霊アークボルト》は《キングダムソード》を放った!
リオに67のダメージ!リオはしゅび力が下がった!
マナに53のダメージ!マナはしゅび力が下がった!
死闘は延々と続いた!
リ「くっ!勝てそうにない…!」
二人のHPとMPが底を尽きそうになった頃、しかし《亡霊アークボルト》は突如、剣を静かに鞘に納めた。
ア「どうだ。私の強さがわかっただろう」
すると、亡霊の姿は消えてしまった…
リ「はぁ、はぁ、はぁ、何だったの今のは…!?」
『僧侶だけで魔王を倒すには?』
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