第42章 へんきょうのち
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- 2023年1月1日
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第42章 へんきょうのち
二人は町に引き返した。
リ「アタシ、政治とか戦争ってよくわからないわ」
マ「わたしはもっとわからないよぉ」
4人のうち誰が最も優れた指導者であったのか、リオにはよくわからなかった。自分が愚かなのだろうか?それとも何かヒントを見逃したのだろうか?
リ「誰も尊敬できないのに、誰かに投票しなきゃならないのかしら?
これはカンタンなようで難しい問題だわ(汗)」
マ「白紙で出したらダメなのかなぁ?」
きっと町の者たちは、「お前は誰に投票した?なぜそいつを選んだ?」と暑苦しく問いただしてくるだろう。明確な答えをこしらえておかなくてはならないように思えた。
宿に戻って休息をはかる。
ロビーでは今日も、神父が一人、退屈そうに酒を飲んでいた。
神「こんにちは旅の人。
北西の山のふもとには、もう1つ古い時代から残る土地があると聞きます。
5人目の英雄とやらが住んでいたのでしょうか…」
それに行ってみようか。二人は思った。
翌日。城を出て北西の方角を目指す。
四方を山に囲まれた盆地のようなこの国は、地の果てがどのあたりであるか、眼前にそびえる山の距離感でなんとなしにわかる。四方の遺跡よりももっと遠くへ歩かなければならなかった。いわゆる辺境の地を目指す旅だ。
しかし、小難しいことに頭を悩ますよりは、モンスターと戦いながら歩くほうが楽だ。そんな気もした。
やがて二人が目にしたのは、広大な庭園のような場所だった。
手入れされなくなり荒んではいるが、今でも色とりどりの花が咲き、そして花やハーブの香りがする。
マ「わぁ!お花畑だぁ♪」マナは特段喜んだ。
花の香りを胸いっぱいに吸い込みながら庭園を散歩していると、やがて庭園の隅に石碑のようなものを見つけた。
「ここは名もなき園。
リリアとその助手マイ、ここに眠る」
ひそやかにそう刻まれていた。
リ「お墓ね。リリアというのが例の、5人目の英雄と言われた人かしらね」
そのとき、石碑の後ろに小さな《スライム》が3匹いるのが見えた!
リ「また《合体スライム》!?」リオは剣の鞘に手をかけた!
マ「待ってリオ!敵意は無さそうだよ」
3匹の《スライム》は、突如訪れた二人に怯えているようだった。
ス「ぷるぷる。僕は悪いスライムじゃないよぅ。
リリアに花を摘んできたんだ」
マ「そう。優しいのね♪」
すると、不意に石碑の前に《旅の扉》が現れた。
リ「え!この階層の終わりってこと!?
まだ誰にも投票してないのに!?」
マ「裏ワザみたいなことなのかなぁ?」
そうであるらしかった。隠しエンディング。二人が選んだ、変則的なエンディングである。
マナとリオのステータス・その5


『僧侶だけで魔王を倒すには?』