第65章 魔王
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- 2023年2月28日
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第65章 魔王
?「いやぁご苦労さんだよブオーンくん」
見知らぬ者が、リオたちの背後で足を組んで座っている。出来あいの玉座に。
リ「何者…!?」
?「時間稼ぎをしてくれただけでも良しとしよう。玉座は置けた。
俺は誉めて育てる主義だからね」
マ・リ「…!?」
?「何者かって聞いたか?
魔王だよ」
マ・リ「魔王!?」
魔「あぁちょっと待て。
カンペ用意するから」魔王は尻のポケットから何やらメモ紙を取り出して、棒読みしはじめた。
「よくきた勇者よ。わしが魔王のなかの魔王だ。
誰じゃ?私の祈りを邪魔する者は?愚か者め!私を魔王と知っての行いか!?
わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを…。
ここに来たことを悔やむがよい。再び生き返らぬようそなたらのハラワタを喰らいつくしてくれるわっ!」
リ「え、何なの(汗)」
魔「あーほら、何か言っといたほうが威厳があるだろ?」
リ「魔王…なの?」
魔「それにしても、奴はバカだった。《ブオーン》のことだよ。
自分の手の内をグダグダとバラしやがって。
なぜあんな愚かなおしゃべりをしたか、わかるか?
奴はロマン砲を打ちたかったんだよ」
マ「ロマン砲って?」
リ「ものすごく強い一撃、みたいなことよ。アタシが撃った超絶ギガデインみたいな」
魔「お前らが普通に《ギガデイン》と《バギクロス》でも撃ってりゃ、《断罪のいかずち》は2000ダメージにもなった。それが見たかったんだよ奴は。
ボスだろうが何だろうが、大人だってみんなガキっぽいんだ。はっはっは」
リ「なにを…言ってるの?」
魔「はっはっは。しゃべり過ぎだって?自覚はある。
『ADHDの気がある』って昔医者に言われたよ」
リ「アンタだって、しゃべりすぎると墓穴掘るわよ!」
魔「それはない。俺は絶対倒せないから。
そろそろ戦うか?そうだな」魔王はパチンと指を鳴らした。
なんと、どこからか《腐った死体》の群れが現れた!
リ「くっ!激戦を終えたばかりだってのに!
《ギガデイン》!」リオは《稲妻の剣》を振りかざした!
魔物の群れをやっつけた!
魔「お見事お見事。
でも何回でもやるよ。奴らゾンビだしね」
リ「そういうことね!
配下を呼び寄せてこっちを消耗させるつもりなのよ。
残念ね!アタシたちの勝ちよ!
あなたにもう、仲間は呼べないわ!」
魔「はっはっは。どうかなぁ?」
魔王はパチンと指を鳴らした。
なんと、再び《腐った死体》の群れが現れた!
腐った死体Aの攻撃!リオは28のダメージ!
リ「どうなってるの!?
アタシたちは《ありキラー》の特性を持ってる。
2度以上仲間は呼べないはずなのに!!」
魔「はっはっは!
《仲間を呼ぶ》んじゃないんだ。
『高い給料を払って雇用』しているんだよ。
奴らは、報酬のためにいくらでも仕事をする。ゾンビだからなおさらな」
リ「やるしかないわ。何度でも!
《ギガデイン》!」リオは《稲妻の剣》を振りかざした!
マ「《バギクロス》!」魔物の群れをやっつけた!
魔「激戦続きなのに威勢がいいなぁ。大したもんだよ。
しかし、その剣の《ギガデイン》で倒しきれない奴らが現れたら?
おまえらよりも素早い奴らが現れたら?」
魔王はパチンと指を鳴らした。
魔「いずれお前らは、力尽きて死ぬ。
俺に1つのダメージも与えられずに、な」
なんと、どこからか《なげきの亡霊》の群れが現れた!
《なげきの亡霊》Dは妖しい杖で殴りつけてきた!マナに35のダメージ!
魔「奴らは昔、神官だった。
神官さえも、高い給料払えばこのザマだ」《なげきの亡霊》Fは《ベギラゴン》を唱えた!二人は90程度のダメージを受けた!
魔「あぁそうそう、俺に攻撃しようと思ったってムダだよ。
いざとなれば一度に何百でも配下を呼び出せる。肉壁などいくらでもこさえられる」
魔王自身は微塵にも動かない。ずっと玉座に肩肘をついて、脚を組んで優雅に座っている。
魔「カネでなびかない奴も、たまにはいる。
でもそんなことは大した問題じゃない。
そんな奴が一人二人いたところで、大勢に影響はないんだよ。それが組織ってもんだ」
リ「《ギガデイン》!」リオは《稲妻の剣》を振りかざした!
《ギガデイン》では《なげきの亡霊》たちは倒しきれない!マナは《ベホマラー》を唱えた!二人のHPが回復した!
魔「ほらもうこれでジリ貧だぜ?呆気ないなぁ」
魔王はパチンと指を鳴らした。
なんと、どこからか《ボーンファイター》の群れが現れた!
魔「はい。もう詰みだろう~。
まだ部下16人だけど?」
リオも戦意を喪失してしまった…
ボーンファイターBは《ルカナン》を唱えた!二人のしゅび力が下がった!
ボーンファイターGはマナに《マヒ》攻撃を放った!
リ「やばい!なんとかしないと!」
その時だった!
空から白く輝く何かが降り注いだ!
なんと、神鳥ラーミアが助けに現れた!
ラ「捕まりなさい!」ラーミアは二人をかっさらい、瞬く間に飛んでいった!
魔「やれやれ。明日も出勤か」
『僧侶だけで魔王を倒すには?』