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CHAPTER 12

CHAPTER 12


サ「この辺に、簡素な詰所があるはずだぜ。

 そこなら魔物も入ってこないんじゃないかな」

一行は、地下通路の途中で野営を張った。

サ「手の内を隠してるのは君らも同じなんじゃないのかい?」

サマルの促しをキッカケに、ミユキは自分が修道院の出身であることも、そして転生という数奇な経緯を経てきたことも打ち明けた。

サ「…ふうん。テンセイなんて言葉は初めて聞いたけど、要するに知らない国から来たってなもんだろう?

 そんなの大した問題じゃないよ♪

 サマルトリアはローレシアに比べて、移民の多い土地でね。異なる文化の人と接するのには慣れてるつもりさ」

ミユキが《ホイミ》を使えるからといって、サマルが奇異の目で見るはずもないのであった。


サ「そんで、ローレは何を隠してるんだい?」

ロ「僕は何のスキルも隠していないよ!

 ホントに力任せに敵を殴りつけるしか能がないんだ。

 青年兵士の中じゃ一番強かったから、それは誇りに思ってるけど、それしかない」

ミ「ローレ様は、隣国の姫がお茶に誘ってこられても、気の利いた褒め言葉を返すことすらできないんですぅ」

ロ「こら!そんなのどうだっていいだろ!」ローレは赤面した。

サ「あははは!まぁ社交のたしなみも大切なもんではあるね」


魔物うごめく暗がりの中で喜ぶのもおかしな話だが、3人にとってこの旅は楽しかった。

ようやく自分の長所を理解してくれる仲間に、出会ったのだ。薄暗い洞窟の中、ほとんど何も持たずに2人の仲間しかいないが、3人は孤独ではなかった。

ローレとサマルは、戦いにおいて色々な連携がとれることに気づいた。

まじゅつしのみならず、キングコブラ、ラリホーアント、よろいムカデと敵は手ごわかったが、2人は善戦しながらさらに強くなっていくのだった。


やがて、洞窟のような地下通路を抜ける。

南側の入口にも関所はあったが、もぬけの殻であった。

関所の壁には簡素な周辺地図が飾られてある。

南に向かえばムーンブルクの城があるようだった。


ムーンブルクの領土に生息する魔物も、地下通路に巣食う魔物と同じような種であった。

城が壊滅を受けただけではない。大陸全体がローレシアのそれよりも険しいものであることが伺えた。城に助太刀に行く前に、そもそも城まで辿りつけるのか?ハラハラする。

旅はいつも、思っている以上に険しいものである。

旅立ちの勇気を持った若者を持ってしても、そんな憂鬱な前途と戦わなければならないのだった。

一行は野営を挟みながら南下を続けた。リリザの町は簡素な宿しかなかったが、この途には宿屋すらないのだ。

サ「ミユキ、君はこんなサバイバルに耐えられるのか?」ローレだけでなくサマルも、ミユキの心身を心配した。

ミ「転生する前、私は救急患者ばかりを相手する看護師でした。いつも仮眠室のソファで夜を明かしたものです。豪華なベッドが無くてもわたくし、気にならないのです」

サ「ははは。『最も強い冒険者とは、どこでも寝られる者だ』とどこかで聞いたことがあるよ」



『転生したらローレシアのメイドさんだった件』

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