CHAPTER 14
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- 2023年3月1日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年5月3日
CHAPTER 14
翌朝。
遠く離れたムーンペタの宿屋で目覚めたことを思い出すと、2人の王子は隣室のムーンブルク王女のもとへ駆けつけた。
ロ「どうだ?目を覚ましたか?」
そこには、未だ眠る王女を静かに看病するミユキの姿があった。
ミ「シー!ローレ様おしずかに」
しかしその物音によって、王女は静かに目を覚ますのであった。
ム「う……ん」
3人「王女!!」
ム「は…!ここは!?」
ミ「ムーンペタの宿屋でございます。
ムーンブルクの王女様、でございますよね?」
ム「あなたたちは…。
あぁ、思い出しました。
私を恐怖と孤独から助け出してくれたお方。
サマルトリアの王子と、きっとローレシアの王子ではないでしょうか?」
サ「そのとおりです」
ロ「健康状態は悪くないらしいです」
ム「はい。
………。そうですね。顛末を話しましょう」
ロ「よろしく頼む」
ム「魔王軍の襲来がありました。
城の者たちは抗いましたが、勝ち目がないことを悟りました。
すると従者たちは、私を地下の台所へと閉じ込めるのでした。
『あなただけは死んではいけない。希望の光だから』と。
台所は暗くて寂しい場所でしたが、食料はたくさんありました。私は恐怖に震えながらも、食料を食いつなぎながら救助を待ちました」
サ「わかった。ありがとう。
希望の光。ムーンブルクの王女は偉大な魔法使いだと聞いています」
ム「いいえ、私は自分が希望の光だなどとは思いません。
しかし、民がその命を犠牲にして私を救ってくれたこの出来事のさなかで、私は思いました。
『希望の光にならなくてはいけない!』と。
今がそうでないとしても、そうならなければ!そう強く思いました。
台所の暗闇ではときに死にたくもなりましたが、生き延びなければならないと懸命に心を保ちました。
ミ「王女様…!!」ミユキは目に涙を浮かべながら、王女の両手を握りしめた。
サ「あんまり気負わないことさ。
今出来ることをやってりゃ、そのうちどうにかなる」
ム「えぇ」王女のまなざしはしかし、緩むことはないのだった。

『転生したらローレシアのメイドさんだった件』