CHAPTER 3
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- 2023年3月1日
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CHAPTER 3
やがて二人は、
小さな町にたどりついた。リリザの町だ。
町「よう。見ない顔だな。行商の用心棒ってとこか?」
ロ「えぇ、まぁ」
人々は気さくに話しかけてくる。ここはのどかな土地であるようだ。
町「ここはリリザの町だ。サマルトリアとローレシアの中継地点さ。
大したもんは売ってねぇぜ。何しろのどかな土地だからな」
ミ「サマルトリア。勇者ロトの血を引きしご親戚の国ですわね。
あそこの王子様も剣が立つと聞きます」
ロ「そうだね。一度お手合わせ願いたいな!」
ミ「戦わないでくださいまし!力をお借りするのです(汗)」
男「ははは!剣が立つってほどのこともねぇよあそこのお坊っちゃんは」
他の町民が割って入ってきた。
男「ちゃんと剣の稽古をすりゃいいのに、魔法だのなんだのにも手を出したりするから、何の競技でも勝てやしねぇ。器用貧乏ってやつだ。ははは!」
ミ「ムカっ!失礼な!!」
男「えぇ?なんでお嬢ちゃんが怒るんだよ?」
ミ「当然です!サマルトリアの王子はローレ様の…」
ロ「ほらほら!静かな町を騒がしくしちゃいけないよ」
王子はミユキの反論をすばやくいさめた。そしてミユキにささやいた。
ロ「王族だってことは誰にもバレちゃいけないんだ。わかってるだろ?」
ミ「そうでした!もうしわけありません!」
王子は町を見渡した。
ロ「武器を買おう。粗末な武器で充分だと思ったが、勇み足だった。
あばれこまいぬが一撃で倒せるくらいの武器は必要みたいだ」
ミ「いいえ!ローレ様ならレベルが上がればあんなヤツ一撃です!」
ロ「ははは。そうかもしれないけど、毎回キミに命を救われてるわけにもいかないからなぁ。
あとは《やくそう》も買わなくちゃ」
少し先に武器屋の看板が見える。
小さなのどかな町は、まだ日が長そうだ。
2人は武器屋を覗いた。
ロ「どうも。いい武器あるかな?」
武「武器の店にようこそ!
いい顔してんなぁあんちゃん?
その顔つきで《どうのつるぎ》はねぇぜ。
ロ「そうさ、だからもう少しまともなのが欲しいんだ」
武「これなんかどうだ?
ローレシアの王子が武術大会で優勝したときに装備してたやつさ。
《ふぶきのつるぎ》。どうだ?立派だろう?」
ロ「いやぁ、それじゃなかったよあの時は」
武「え?なんであんちゃんが知ってんのさ?」
ミ「ローレ様!ダメですよ!!」ミユキは小声でローレに釘を刺す。
ロ「あ、いや!ほら、僕も剣士のはしくれだからさ。
あの武術大会は見に行ったんだよ」
武「とにかく良い武器さ!
5000ゴールドでマケとくよ。買ってくだろ?」
ロ「いやぁそんなにお金持ってないんだ」
武「嘘だろ?よその国から来たろうに。5000くらい持ってんだろ!」
ロ「いや、とにかくもう少し普通のでいいからさ…」
結局王子は、200ゴールドで《石のオノ》を買った。
どこでも売っているような普及品の武器だ。
ミ「ローレ様、それはいくらなんでもダサすぎますわ!」ミユキは本気でゲンナリしている。
ロ「ダサいとかそういう問題じゃないんだよ。
でまかせを言う武器屋だ。高い金を出しても偽物を掴まされるような気がしてさ。
だからどこでも売ってるような武器にした」
ミ「ローレ様。そもそも《石のオノ》を買うお金しか持ってらっしゃらないじゃないですか!」
ロ「いやそれもあるんだけどさ(汗)」
王族の後ろ盾に頼らず旅をするというのは、意外と大変だなと痛感するのだった。
ミ「ご飯とかどうしましょう?《やくそう》も買わなければならないのに!」
ロ「そうだね。この武器でもうちょっと戦ってこよう」
王子は町の外に出て、魔物としばし戦った。《石のオノ》を装備して、少しだけ強くなった。そしてレベルも2つ上がり、あばれこまいぬくらいは一撃で倒せるようになった。
『転生したらローレシアのメイドさんだった件』