CHAPTER 51
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- 2023年3月2日
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CHAPTER 51
食事を終えて家を出る。日はまだまだ明るい。
セレシアの言うとおり、一行は先を焦らず集落を歩いてみることにした。散歩するだけでも気分がいい、そういう村だ。
集落を、来た道を引き返すようにして入口に戻るつもりだ。
まずは水色の家のガーデンテーブルで、男が二人、話し込んでいる。吟遊詩人と武闘家、という感じだ。
武「聞いてくれよ!俺、次のレベルまでの必要経験値、1000万だってよ!」
吟「芸術だって同じようなもんだよ。
ある程度のところまでいくと、1日10時間やったってそれを1週間やったって、レベルが上がった実感がないんだよね。でもそれを続けることで、なんだかんだ上手くなってる。芸術で達観することは、戦士がレベル99に達するのと同じくらい根性がいるさ」
はぁい、と彼らはこちらにも気さくに会釈をする。
ミ「いいなぁ、芸術っていつか、思いきり打ち込んでみたいです」
吟「今すぐにでもやったら良いんじゃないですか?
歌を歌いながら歩けばいいんですよ♪
『山のなかにぃ~ 町があるぅ~
忘れる前にぃ~ 信じちゃくれないぃ~』
ほらこんなふうに♪」
ミ「きゃはは!それはこの国で有名な歌なんですか?」
吟「いいや?今テキトーに作ったんだよ(笑)」
ミ「すごいですぅー!」
吟「はははすごくないさ、陳腐な歌だ。
でも楽しいから良いんだ♪芸術は、自分や人を幸せにするためにある。
…あぁ君、芸術がすぐに上達するヒケツ、知ってるかい?」
ミ「えぇ、知りません。教えていただけますか?」
吟「けなす人のいないところでやることだよ♪
けなしてくる人がいなけりゃ、大胆にどんどんやるからね!
そしたらどんどん上手くなる。そうだろ?」
武「つってもおめぇ、上手くなってねえじゃんか!
なんだよその陳腐な歌はっ!」
吟「こここ、これは、たとえ話をするためにテキトーに作ったからだよ!」
ミ「きゃはははは!
あ、お二人は《命の紋章》をお持ちでありませんか?」
吟「ははは!君はボケの天才か?
そんなストレートに聞かれても答えられるわけがないだろ!
まぁ持ってないけどね!」
武「答えてんじゃねぇかよ!」
吟「とにかく、もっと違う質問にしてくれよな」
ム「お二人はこの国で生まれたのですか?」
吟「いいや?下から来た者だよ。
僕は田舎の村の農家の出身でね。
音楽に熱中してたら親が怒鳴るもんだから、家出してきたんだ。
いや親の手伝いだってちゃんとやったよ?田舎に生まれりゃ土いじりが好きなんだ。
でも芸術にもっと憧れちゃった。
村の周りはモンスターが強いんだけどさ、音楽をやりたくてたまらなかったから、懸命に強くなったんだよ。音楽で戦う方法も考えたしね。そしたらいつの間にかここまで来ちゃったってわけさ」
武「俺は魔王退治の勇者の一味だったがね。
勇者たちが賭博場に入り浸って出てこねぇもんだから、一人でパーティを抜けてきちまった」
サ「おぉ、似たようなハナシをどっかで聞いたなぁ(汗)」
武「俺、方向オンチでよぉ。一人で魔王の城なんて突き止めらんねぇんだよ。
テキトーにさまよってたらここに行きついちまった」
サ「テキトーに、あの洞窟に潜り込んだのですか?」
武「『なんとなく』だよ。暗闇の向こうに何かがある気がした。
入ってみりゃ魔物が強くてね!でもそいつらをバッタバッタとなぎ倒すのが楽しくて、引き返すことも忘れちまったよ!レベルか?今83だ」
一行「はちじゅうさん!!??」
武「ちなみにコイツは、レベル71だよ。お笑い芸人の」
吟「吟遊詩人だよ!!」
『転生したらローレシアのメイドさんだった件』



