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CHAPTER 58

CHAPTER 58


一行は言われた通り、《命の紋章》を大量に織っていたあの機織りの家に行ってみた。

そばにいる中年の女性に事情を説明する。するとだ。

女「《風のマント》を差し上げますわ!」

一行「《風のマント》!?」

女「えぇ。わたしたちが織った魔法のマントです。

 これを身に付けて、向こうの崖から飛び降りてみてください。

 風の谷の近くまでひとっ飛びで辿り着けますよ」

サ「えぇー!!そりゃ無理ですよ!死んじゃいます!」

女「ただのマントではないのです。魔法を込めて編んだマントです。

 飛翔能力はありませんが、滑空を補助する能力があります。

 高いところから低いところへなら、移動を補助することができるんです」

サ「信じたいが…信じられない…(汗)」


するとそこに、昨日の武闘家が駆け付けたのだった。

武「よう!下に行くんだろ?話は聞いたぜ。

 俺の出番のようだな!ムダに強い俺様が!」

ミ「何か手伝ってくださるのですか?」

武「そのマントが本当に飛べるところを、実演して見せてやるよ。

 そしたら飛び出す勇気も湧くだろう?」

一行「…!!」


武闘家は本当に、マントを持って崖へと一行を率いた。

サ「ちょっと待って!本当に死んじゃいますよ!」

武「大丈夫なんだよ。理屈はよくわからんがさ」

ム「仮に本当に飛べるとして、下からあの洞窟を戻ってくるのですよ?」

武「へっへっへ。忘れたのか?

 俺はレベル83の武闘家だぜ!

 一人で洞窟を抜けるのも、造作ねぇよ」

一行「たのもしい…!!!」

能天気な武闘家に見えるが、さらりと体を張る自己犠牲愛に長ける男なのだった。


「じゃぁな!」と短く言うと、武闘家は本当に崖から飛び降りてしまった!

 すると、マントは風を掴み、彼は巧みに風を切って滑空するのだった!

「…!!」一行は呆気にとられている…

ロ「僕が行こう」ローレはたくましく先陣を切った。

すぅぅぅ…。1つ大きく深呼吸すると、「えいっ!」マントを広げて勢いよく飛び立った!

サ「飛んでる…!」

二人が飛べるなら本当に飛べるのかも、と3人は思い始めるのだった。

サ「よし、3人で手をつないで飛ぼう」

サマルの名案にムーンとミユキは表情を緩め、ついにその勇気が湧くのだった。


サ・ム・ミ「せーの!!」

バサっ!

3つのマントは上手に風を掴み、3人も順調に大空を滑空するのだった!

サ「さようならー!」

あっさりとした別れの挨拶にも、慣れてきたものだ。


サ「うぉーーーーー!」

大空を飛ぶ爽快感から、サマルは大きな声を上げて滑空した。

鳥ではないものの声を耳にして、風の谷の人々は空を見上げた。

大人の幾人かは、起きている出来事を察した。このようなことは以前にもあったのだった。

ププルとバーバラは目を輝かせながら鳥人間を見上げていた。


風の谷の真上の崖に、全員が降り立った。

それを見届けると、武闘家は全員のぶんの《風のマント》を回収し、「じゃぁな」と短く言ってまた山を登っていくのだった。

サ「あの武闘家さんも相当な猛者だぜ…!」

さらりと行う物事は、人にすごさが伝わりにくいが、サマルはあの武闘家の心身の達観具合がよくわかるのだった。残りの3人も。



『転生したらローレシアのメイドさんだった件』

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