episode13 『王と悟り』
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episode13
「ぷはぁ!」なんと、中から修道女が現れた!15歳程度に見える。可憐な少女である。
ソ「軟禁か!」
修「旅のお方!どうかわたくしも殺してくださいまし!」
ソ「えぇ!?」
●シスター・マリア

年齢:19歳 誕生日:2月10日 身長:161cm
修「わたくしはシスター・マリア。いいえ、名乗ることが礼儀ですから名乗りましたが、わたくしの名前などすぐにお忘れください。
神父様を殺めてくださってありがとうございます!」
ソ「良かった。閉じ込められてたんですね」
マ「しかし私は悪に服従した身・・・裁かれるべきです!もう生きてはいられません。どうかこの場で殺してください!」
ソ「えぇ!奴隷にさせられていたんでしょう?あなたも罪なき被害者ですよ」
マ「わたくしが罪なき被害者・・・!そういう見方も出来るのかもしれませんが・・・
しかしわたくしがもしあなたのように勇敢なら、神父様に服従することを断れたはずです!ナイフを突き立てられるとしても!」
ソ「そうかもしれないけど・・・。そんなにストイックにならなくていいんじゃない?
あなたは被害者ですよ。
ずっと軟禁されていたの?可哀そうに」
マ「食糧庫に閉じ込められていたのは今だけです。あなた様が教会に踏み入ってから。
人が来れば、私はこの部屋に閉じ込められます。
それ以外は控室と2階を自由に動いています。神父様の身の回りのお世話をさせられていました」
ソ「つまりその・・・愛人としても囲われていたわけですね?」
マ「いいえ、それはありませんでした。幸運にも」
ソ「えぇ!?売春をやってる人なのに!?」
マ「彼自身は女を買いません。男色の人なのです」
ソ「あぁ・・・!」
マ「なぜか、教会の神職者には男色が多いです。
とにかく、彼は私の体には興味がありませんでした。それがせめてもの救いでした」
ソ「なんかよくわかんないんです。複雑なのかな?
だって、風俗をしたいなら女を買えばいいだけじゃないですか。そしてこの町には娼婦がいっぱいいるんでしょう?
あぁ、そのためにカネがいるから麻薬を求めるのか!」
マ「金策のためでもありますが・・・麻薬に中毒することが楽しいからです。
それに、罪逃れのためです」
ソ「麻薬が罪逃れ!?」
マ「この国では、売春は違法です。少女の売春はなおさら重い懲罰になります。
しかし、麻薬は違法とはされていません。そのうちなるのでしょうが、今はまだ」
ソ「えぇ?検問の兵士も麻薬を取り締まっていますよ!」
マ「それはフェイクです。政府は麻薬を取り締まってはいないのですが、検問の兵士は麻薬やお金が欲しいので、見つけたら没収し、罰金を取ります。それをやりたくて検問にいるようなものです。昔は違ったのですが・・・。役人も教会も、みんな快楽やお金に堕ちているのです!」
ソ「へぇ。でも罪逃れってどういうこと?」
マ「もし、神父や役人や、スラム街のだらしない人々が売春を咎められても・・・『薬で精神がおかしかった』と言えば無罪になってしまうのです」
ソ「なるほど!精神錯乱を隠れ蓑にする犯罪者は僕の国にもいる!
それで、女の子はどこからくるの?」
マ「近隣の村から買われてきます」
ソ「人身売買だって法律で辞めさせればいいのに!」
マ「そうはならないのです。残念ながら」
ソ「どうして?」
マ「昔は・・・もっと南の国のハンコックというところで売春が盛んでした。東の国からも多くの人が、旅行がてらに女を買いに来ました。
ハンコックの国は売春を禁じました。
しかし・・・。
売春が根絶するわけではなく、その中心地がロンガデセオに移っただけでした。
結局、女を買う人がいるなら売春も人身売買も、少女の性奴隷も、なくなりはしないのです。場所が移り変わるだけです」
ソ「そうか!密売人だけを取り締まっても意味はないのか!」
マ「それに・・・性の営みを楽しんでいる少女もいます。それが実情です。
性の営みは、人の性(さが)でしょう。でも・・・もっと健全でなくちゃいけないと思います」
ソ「その通りだよ」
マ「うっうっうっう・・・」マリアは己の無力さに涙を流した。
ソ「ふう。
マリアさん、こんな町にいないほうがいいんじゃないの?」
マ「そうですが、私はこの町を出ていく強さがありません。教会からすら、怖くて出られないのです・・・」
ソ「そうか。魔物がいるもんね。
船に乗ったら安全に遠くに行けるんだよ。・・・でも船着き場までも距離があるな。
僕も帰りのこと考えなくちゃ。どうしよう」
マ「もっと近い船着き場が、あるにはあります!」
ソ「本当?」
マ「ここから真っすぐ西にいくと、川の手前に古代遺跡が立ち並んでいます。昔はそれが観光名所でした。
そのすぐ先が川ですので、昔はそこでも船は停まっていました。
今でもその辺りで待って手を振れば、船は停まってくれるはずです」
ソ「そうか!じゃあ君を連れ出してあげられるかも!」
マ「あぁ、なんという神の慈悲・・・!!」マリアはまた目に涙を浮かべた。
ソ「明日また来ますよ。僕はスラム街のどっかの安宿に泊まってきます。あなたはここにいたほうが安全でしょう?」
マ「えぇ、きっとお待ちしています!」
ソロはスラム街をしばらくぶらぶらとほっつき歩くと、安宿を見つけてその日の寝床を確保した。
マイエラと同じ3ゴールドで済んだのはありがたいが、随分とボロい建物であった。もちろん相部屋でもある。マットレスはなく、御座を敷いて眠る。
さらには、窓は立て付けが悪くて閉まらないのだった・・・。
ソ「まぁいいか。窓を閉めたところで虫はどっからでも入ってきそうだし」
ソロはあまり気に留めないことにした。
翌朝。この町の不幸はまだ終わっていないのだった!
ソ「お金がないーーー!!!」
なんと、夜のうちにカバンの中からお金だけが抜き取られていたのだった!
昨晩、この相部屋には他の客はいなかった。すると犯人は宿主と思われる。
ソ「僕のお金を返してください!!」ソロは宿主に叫んだ。
宿「どうしたい?」
ソ「僕のお金がすっからかんに失くなりました!」
宿「はっはっは!気の毒なこった。この町じゃたまにあるんだよ。なんせスラム街だからな!」
ソ「そんな他人事みたいに!盗ったのはあなたではないですか!?」
宿「おいおい!どこに証拠があるんだね?」
ソ「寝室に昨夜、客は僕だけじゃないですか!」
宿「だからってオレが盗った証拠にはなるまい?」
ソ「そうだけど・・・」
宿「ほれ、カウンターでもクロークでも、くまなく調べてくれていいよ。ポケットにも手をつっこんでくれていい。パンツまで脱ごうか?」
ソ「むぐぐ!」
宿「外から誰かが侵入したかもしれないだろう?」
ソ「そうだ!窓が壊れていた!
壊れた窓をそのままにしているんだから、やはりあなたに責任がある!」
宿「そんなこと言ったって!壊れたすべてをすぐには対処できないぜ。今日やろうと思ってたんだよ。
別に窓が壊れてたなら、『部屋を変えてください』って言えばよかったじゃないか?なぜ最善を尽くさなかった?
ほら、お前に落ち度があるだろ」
ソ「むぐぐ!!こうなったら・・・」
宿「警察に突き出すか?勝手にしろよ。はっはっは!」
ソ「はっ!」そうか!この町の警察など、居るにしたってまともに機能しているとは思えない!
宿「警察に御用かい?検問に行けば兵士はいるぜ」
あの兵士もあてにはならない。泣き寝入りするしかないと悟った。自分が悪くないとしても、どうにも出来ないことがあるのだ。
宿「剣を持ってるってことは冒険者だろう。
魔物倒して拾った宝石が、ちょっとは残ってるんじゃねぇか?良かったな!」
ソ「そうだ!」
宿主の言うとおり、宝石の入った袋は無事だった。数十ゴールド分しか無さそうな小さな袋だ。犯人はこれだけは手を付けなかったのだろう。
宿「あぁ気の毒だがなぁ。朝食食べていくならあと1ゴールド取るぜ」
ソ「要りません!」
ソロはそそくさとその宿を飛び出した。その足でまっすぐに教会へと向かう。
マリアは起きて身支度も済ませていた。
ソロは今起きた災難を簡単に報告した。
マ「まぁ、そんな大変なことが!!
神よ!現代の救世主に、恩を仇で返すのでしょうか!!」
ソ「あはは。もういいんだよ。報告は必要だと思ったけど、早く忘れたいよ」
マ「せめて朝食だけでもご用意いたします!」
マリアは教会に蓄えている食料でソロに朝食を振る舞った。
マ「ソロ様も早くこの町を離れたほうがよろしいですね!」
その通りのようだ。2人はすぐに町を出た。極力人に合わないように、静かに町の西側に出た。


