episode16 『王と悟り』
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episode16
カレンと比べて圧倒的に素朴な村だが、絶えず新鮮なことがある。それでいて安らぎも感じる。旅とは不思議だ。この村が最高に素晴らしいというわけでもない。旅が、それを感じさせている。
300ゴールドの剣は買えないが、装備を強化したいと感じた。
鎧めいたものに憧れるし、盾など持ってみたいものだが、それ以前に現実的な問題として、サンダルで大地を歩き続けることに限界を感じる。もう少し足に優しく、踏ん張りの利くものを履きたい。
ソロは防具屋を探して覗いた。
防「はいいらっしゃい。どんな用だね?」
ソ「何か、皮のブーツみたいなものが欲しいんですが」
防「君は旅行者かね?冒険者かね?」
ソ「えぇと、どっちもです。1年でも旅行したいんですよ。でも剣を持って戦います」
防「じゃぁ冒険者だ。
君、ブーツの前に鎧を買ったほうがいいぞ!ほら、《青銅の鎧》は700ゴールドだ。青く光ってカッコいいだろ!」
ソ「あ、はぁ」どうしてもこういう押し売りが始まってしまうのか。慣れなくてはいけない。
ソ「鎧もいいんですけどね。靴が欲しいんですよ。ブーツみたいのが」
防「そうかい。
《皮のブーツ》なら40ゴールドだ」
ソ「えぇ、それをください。
そのうち鎧も見に来ますよ。お金貯まったらね」あながちお愛想でもないつもりだ。

少しこの村でのんびりしようかな。ソロはそう考えた。
なにしろ滞在しやすい村だ。安宿があり、安食堂があり、寝床の隣に本屋がある。雄大な川をぼーっと眺める風情も悪くない。事件の匂いもなく、村人はそう保守的ではない。
翌日は、隣の本屋に入り浸っていた。立ち読みしていても店主は怒らないのだった。隣の安宿の客がここで暇つぶしをするのは、ある種の伝統になっているのだった。
観光の本も良いが、冒険の本が今は気になる。『戦士の心得』だとか『魔法使いの攻撃呪文・初級編』だとか、興味深い本が幾つもあるのだ。
ソロはそのうちの1つを手に取った。
『君はレベルが幾つなんだ?』
いっかくうさぎが容易に倒せるならレベル3だ。バブルスライムが容易に倒せるならレベル5だ。そんなふうにして冒険者たちは、互いの戦闘能力を推し量っている。ここに一例を示す。
いっかくうさぎ→レベル3
バブルスライム→レベル5
いたずらもぐら→レベル7
みならいあくま→レベル10
ソ「ふむふむ」ソロは興味深く眺めた。
いっかくうさぎはもう怖くないぞ。バブルスライムというのはあの毒を持つスライムか。つちわらしは幾つなんだろう?5くらいか。
いたずらもぐらというのは遭遇したことがないが、この絵を見る限りシャベルのような武器を持って襲ってくるようだ。武器を持つうえに狂暴なら、苦戦をするかもしれない。・・・まだ僕のレベルは5と7の間程度だろう。
そういえば、モリ漁はレベル10以上だと書いてあった。観光旅行者の中には僕より戦闘能力の高い者もいるのか。それとも冒険者はときに観光アトラクションをするのか。
すると、思いがけない来客があった。
武「おい!あぁお前だ!」
振り返ると、そこにいるのは武器屋の親父である。
武「緑の服のひょろひょろした冒険者って言ったらお前だろう。
えらいべっぴんさんがお前を探してるぞ!」
ソ「え!?べっぴんさん??」



