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episode32 『王と悟り』

22 時間前
読了時間: 4分

episode32

カルベローナ試練の洞窟
挿絵 by 生成AI

徘徊は2時間を過ぎた。

《たいまつ》を掲げながら大きな緩いカーブを曲がる。

すると!

キキキキキキー!!

バサバサバサバサ!!!


ソ「あのコウモリか!」応戦できる。と平静を取り戻す。

シュルルルルルル!勇ましく《チェーンクロス》を振るう!

ひらり!ひらり!敵は素早く身をかわした!

ソ「なに!?」これまではそう空振りすることもなかったのに?この辺りは心なしか天井が高いか。滑空範囲が広いので逃げやすいのか?とソロは思った。

しかし!

「《マヌーサ》!!」なんと敵は魔法を唱えてきた!

灰色のモヤが辺りを覆う!敵の姿が見えにくい!かと思ったら異様に多くの敵が見えたりする!

ソ「幻影か!」まやかしを見せる魔法などあると、どこかの冒険者が言っていたぞ。

シュルルルルルル!

シュルルルルルル!

えぇい数撃ちゃ当たる!ソロは怯むことなくチェーンクロスを振り回した。

ピシ!ピシピシ!少しは当たっているようだが致命傷に至っていない!?

キキキキキキー!!

バサバサバサバサ!!!

敵の攻撃はこちらの体力を確実に削っていく!

よく見ると、色が違う?先ほどまでのきゅうけつこうもりと違う、亜種であるようだ!

バンプドック
バンプドック

ソ「そうか!あいつらよりも手強いんだな!」それがわかったところで安心材料にはならない!

シュルルルルルル!

シュルルルルルル!

ソ「鉄のムチならどうにかなるぞ!」ソロは希望を込めて自分を奮い立たせる!


キャキャキャキャキャキャー!!

バサバサバサバサ!!!

こちらをあざ笑っているような!?五分五分の戦いに思っていたが、押されているのか!?

腕が痛い!体が痛い!体力の限界を感じ始めた。

敵の数は減っている気配がない・・・!

気力が萎えはじめたそのとき!


「《ラリホー》!」

敵はまた何か魔法を唱えてきた!


ソ「うぐ!」意識が朦朧としてきた!何の魔法だったか!?

まぶたが落ちてくる。力が入らない。眠気に襲われている!?《ラリホー》は敵を眠りに誘う魔法である。

ソロはついに、よろよろと倒れ込んだ。

しかしコウモリたちは容赦なくソロをバサバサと突っつき続ける!

ソ「ダメだ・・・」洞窟で死ぬのか、と思った。

キャキャキャー!!

バサバサバサバサ!!!

ソ「だ、だめだ・・・!


 死んではダメだ!!!」

ソロは威勢だけで自分を戒めた!

どうする!?何をすればいいのだ!?

一か八か、《銅の剣》を具現化して振り回すが意味を為さない!

《銅の剣》は手からすっぽ抜ける!

次は《青銅の剣》を振り回すが届かない!あえなく手からすっぽ抜ける!

ついには《たいまつ》が手からこぼれ落ちる。

意識が朦朧とする。こんなに強烈な睡魔があるのか!


どうする!?

一か八かの一か八かだ!!!

ソ「《ベギラマ》!!!」ソロは破れかぶれになって、両手を前に突き出してノーラが繰り出した炎の魔法を想像した!!


ドフっ!!!

ゴォォォォォォォ!!!


なんという奇跡だ!!

攻撃魔法など習ったこともないのに、ソロの手からは炎の帯が噴き出した!!!


ぎゃぁーーーーー!!!

バンプドックの群れをやっつけた!!!


ソ「はぁ、はぁ、はぁ、はあ、はぁ・・・」

ソロは最後の気力で、ヨロヨロと壁にへたりこんだ。

意識が朦朧とする。

《ラリホー》は普通、敵を倒せば解けるはずなのだが、ソロはまだ意識が回復しない。

催眠の魔法のせいだけでなく、極度の全身疲労や洞窟の瘴気にやられているのだ。

ぶるぶるぶる。寒い。このまま眠ってしまって大丈夫なのだろうか?雪山で眠ると凍え死ぬと聞くが・・・。

何か、何かしないと。理性は気張るが何も思いつかない。

すると、

コロン。

ポケットから何かが転げ落ちた。

ヒメアの小瓶
ヒメアの小瓶

ターニアの娘がくれた小瓶だ。

何かが回復すると言っていたような?

ソロは藁にもすがる思いで、その小瓶の液体をぐいっと飲み干した。


ソ「・・・・・・」眠気はとれない。疲れもとれない。

ソ「だめか」

しかし・・・

なんだか体が暖かくなってきた気がする。寒くない。

ソ「でも、眠い・・・」ソロのまぶたは、ついにぴったり閉じてしまう。



すると、

まぶたの裏に、ヒメアのはにかむ笑顔が見えるのだった。

ソ「はは」それはソロの心を不意に元気付けた。

まだ死なないぞ。ソロは決意するのだった。その意志が自律神経の働きに少しでも作用するのではないかと願って。老人は、死にたくなった途端に早死にするものだ。


ソロはそのまま眠りに落ちた。


・・・何が起きたのだろうか?

ターニアの娘はその小瓶に、魔法の液体だけでなく彼女の想念を込めていた。いいや自覚はない。その想念とは、恋する気持ちである。ソロへの恋する気持ちだ。いいやそれも自覚はない。ヒメアはまだ恋という感情を知らない。「このお兄さんは好感が持てる」とそう思っただけだ。

しかし魔女の血を引く彼女のその想念は、魔法の小瓶に乗り移る。

そして窮地のソロの体を温め生命機能を守り、そして可愛い少女の幻覚を見せた。

それは回復魔法の一種である。

そして、愛のチカラの一種である。

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