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episode78 『王と悟り』

1 時間前
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episode78


槍投げをしていた男は腕を組んで話す。

男「我々の国はスポーツが盛んでね!平和の国オリンピア」

グ「やはりオリンピアか」

男「これは槍を遠くに飛ばす競技さ。城壁街の中で行うんじゃ危ないだろ?だから街の外に出て練習しているんだよ」

ソ「しかし魔物の危険がありますよ?」

男「そんなのやっつければいいさ!」

ソ「強いのですね!」

男「ところで木こりさんよ。あんたオレと同じくらい良い体してんなぁ!

 ちょっと槍投げの競争をしてみないか?

 オレに勝ったら飯でもおごってやるよ」

グ「うーむ・・・」グレイグは、くだらないと感じていた。

ソ「やってみたらいいんじゃないですか?暇つぶしですよ」

グ「そうだな」

ト「そうこなくっちゃ!オレの名はトンプソンだ。

 槍投げのチャンピオンだぜ!有名人さ。はっはっは!」

グ「グレイグだ」

ト「グレイグ?どっかで聞いた名だなぁ」

グ「うぉっほん。気のせいだろう」

ソ「絵本に載ってた昔のレスラーの名前じゃないですか?」

ト「そうだ。強そうな名前だぜ。


 そんでグレイグよ。まずはあんたのお手並み拝見だよ」

グ「どうすればよいのだ?」

ト「ここにこうやって線を引こう」

トンプソンは足でずりずりと地面に線を引いた。

ト「この線から出ちゃいけねぇぞ?

 ちょっと前から助走をつけて・・・ド―――ン!だ」

グ「なるほどわかった。単純だ」

ト「へっへっへ」

グレイグは槍を持ち、しっかりと踏ん張って構えた。

グ「むーーーーーん。えいやーー!!」

ビュ――――――ン!!

槍はものすごい速度で飛んでいく!

ザン!彼方の地面に突き刺さったのが見えた。

ソ「おぉー、すごい!」

ト「おぉ!?なかなかやるじゃねぇかよ!

 次はオレの番だ!

 むーーーーーーん。だぁぁーーー!!」

ビュ――――――ン!!

トンプソンの槍もものすごい速度で飛んでいく!

ザン!

ト「わははは!やはりオレの勝ちだな!」

ソ「えぇーー!?」

グ「そ、そうか?」

2人から物言いが入る。

なぜなら、飛んだ方向がかなりバラバラなので、どちらのほうが遠くに飛んだかよくわからないのだ。そしてグレイグのほうがやや長い距離を飛ばしたように、ソロやグレイグには見える・・・。


グ「もう一本やろうか?」

ト「いいぜ?今度は本気を出してやろう」

グ「今度は、そなたが先に投げてくれるか?」

ト「あぁいいぜ。それで平等ってもんだな」

一行は飛んでいった槍まで歩きそれを回収し、今度は森のほうを向いてスタートラインを引いた。

ト「むーーーーーーん。だぁぁーーー!!」

ビュ――――――ン!!

ザン!

トンプソンの槍はさっきよりも少し遠く飛んだ気がする。

ト「はっはっは。なかなか調子がいいぜ」

グ「ではやってみよう」

次はグレイグの番だ。

グ「むーーーーーん。えいやーー!!」

ビュ――――――ン!!

ザン!


ト「な、なんてこった・・・!!」


トンプソンは口をあんぐりと開けて仰天した。

なぜならグレイグの槍は、トンプソンの槍の軌道のまっすぐ上を正確に飛んでいったからだ。なおかつ、トンプソンよりも遠くに飛んでいる。

グ「どうだろうか?」

ソ「はははは!やっぱグレイグさんの勝ちですよ!」今度は物言いを付けようがない。

ト「なんてこった!負けを認めざるを得ねぇぜ!

 あんたすごいな!グレイグだって?

 ちょっと街に来いよ!あんたを有名人にしてやるから!」

グ「い、いやそれは勘弁してもらおう」

ソ「ぼ、僕たち忙しいんですよ。街には寄るけどあんまり大ごとには・・・」

ト「そうか。つまらねぇなぁ。

 ほほ~うそうかぁ。余所の国にもすげぇヤツがいるとはな。大会は世界中から集めたいぜこりゃ!よぉーしもっと練習に打ち込むぞ!!」

トンプソンと別れを告げ、2人は街へと向かった。



オリンピアの町並み 『王と悟り』
オリンピアの町並み 挿絵 by 生成AI

オリンピアも城壁街であった。しかしどうも城壁は頼りない。ところどころ朽ちていたり、高さが不充分だったりしている。

グ「知らぬ間に戦争があったのか?魔物にでも攻められたのか?」とグレイグは心配した。

城門をくぐる。中にはさっきの槍投げトンプソンのようにがたいの良い、しかも一枚布をラフにまとっただけの姿の男たちがよく見受けられた。個性的な服装を持つ文化は、旅行していて面白い。「はは」ソロは気分が高揚した。

人々は陽気で楽天的に見える。それは良いことだろうが、しかしイビツさを感じる。

街の中もやはり、家の角が朽ちていたり、公共であろう大きな建物がボロかったりする。

教会の尖塔は途中までしかない。争いなどで折られてしまったのか、はたまた工事が途中で中断されたのか。街は健全ではないように見える。


道行く人を捕まえて話しかける。

ソ「ここはオリンピアですよね?」

男「そうだとも。平和の国オリンピアだ!」

グ「何か困っていることがあるのだろうか?国に問題は?」

男「え?別に特にないよ。みんな平和に生きてるぜ」

グ「あちこち朽ちているが?」

男「あぁ、強いて言えばアレだな。

 近頃女たちが怠慢なんだよ!仕事をしないっつうか嫌そうな顔してさ。男を侮辱したような顔で、生意気なもんだぜ」

ソ「女性が怠慢・・・」

グ「余所者では叱りにくい話だな」とりあえず頭の中に留めておこう。


井戸場に人だかりが出来ている。寄ってみる。

掲示板が立っていて、住民たちがざわざわしてるようだ。


 来月はレスリング大会!

 優勝した者には金色の月桂樹の冠と、副賞にはどんな女も虜にするルビーの大きなブローチだ!


衆「なんだよ!てっきり長距離走と予想して肉弾戦は練習してねぇぜ!」

衆「おまえそろそろ出てみろよ!いい線いくんじゃないのか?はっはっは」

来月のレスリング大会に向けて、盛り上がっているようだ。


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