エピソード11 『人魚たちの償い』
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- 2023年3月29日
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エピソード11
翌朝。
空が明るくなると、まぶしくて自然と目が覚めてしまった。
寝起きであるのも伴って、外気はかなり肌寒かったけれど、
耐えられないほどではなかった。
今は何時だろう?
まだ日は出ていないので、5時前だったのではないかと思う。
私は、早朝の海を眺めに、波打ち際まで歩いた。
早朝は、その空の色と相まって、独特の幻想的な風景を見せていた。
やがて、小さな足音がしたかと思うと、アントニーが迎えに来た。
「父さんが、話があるってさ。」
私はすぐに、ねぐらに戻った。
父は、とりとめもなく話しはじめた。
「よく眠れたか?おまえたち。」
「まぁまぁね。」
「目は覚めたか?寝ぼけ半分ではできん話だ。」
「何なの?いったい。」私は、先を促すように言った。
「昨日の夜父さん、あっちの岩場を歩いていたんだがな、
そこで、人魚を見た。」
「人魚!?」3人は声を合わせ、顔を見合わせ言った。
「そうだ。話もした。」
「話したの!?」
「信じるか?」
「信じるも何も…
溺れたのを助けてくれたのも、人魚だと思ってるから。」
私が言うと、母もアントニーもうなずいた。
「そうか。話が早くて助かった。
人魚は、私たちのことを助けたいと言った。
そして、寝床と食べ物についての情報をくれたんだ。
おまえたち、人魚の言うとおりに、従ってみるか?
私たちを騙そうとしている可能性も、否定はできないのだ。」
私たちは満場一致で、「従う」と答えた。
どうせほかに、頼るものは無いのだから。
『人魚たちの償い』



