エピソード11 『名もなき町で』
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- 2023年3月16日
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エピソード11
そうして1ヶ月も音楽三昧の日々を過ごして…
あるとき一旦、店を離れることになったよ。
「お寺のお堂で寝てみたい」なんてことをミクシィで呟いたら、
マイミクさんの一人が、それに応えてくれたんだ。
熊本に住んでいるゆずちゃんが、「わたし、実家がお寺です!」だって!
とても変わったコだよ。
お寺の家の四姉妹の長女で、「私が寺を継いでもいい」とか言ってる。
大学では気球なんて珍しいクラブに打ち込み、
今はターシャ・テューダに憧れて、花屋でガーデニングを勉強してる。
食事は完全菜食を心がけ、そしてグレープフルーツジュースばっかり飲んでた。
菜食の影響か、27歳でも高校生のような童顔を保っていた。
そのゆずちゃんはまず、僕を彼女のアパートに案内してくれた。
彼女は、実家から1駅くらいの場所で、一人暮らしをしてるんだ。
お金を持たずにさすらっている僕の事情を理解してくれてるから、
寝床だけでなく食事まで、毎日3食、きっちり提供してくれた。
『名もなき町で』



