エピソード13 『リストラ後の7回裏で…』
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- 2023年3月26日
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エピソード13
下の2人の子たちは、
必要最低限のものだけを、新居に運び込みました。
「ログハウスには、シンプルな部屋が似合う!」
と、言っていました。
娘たちは、
寝床の数が少ない問題も、
ユーモラス且つ前向きな方法で、解決してしまいました。
沖縄に旅立った次女・京子が、
「石垣島のコンビニで、500円のハンモックを見つけた!」
と爆笑しながら電話をしてきて、それをコッソリ、贈ってきたのでした。
500円のハンモックなんぞ、如何なるものかと期待薄でしたが、
私が5時間昼寝しても、全く問題の無い代物でした。
リビングの角に掛けられたハンモックは、
むしろ、ベッドよりも人気でした。
下の二人は、しょっちゅう、ハンモックで朝を迎えていました。
ハンモックというものは確かに、
かなり高い実用性を、兼ね備えています。
また、娘たちは、
小さい頃から溜め込んでいた、卒業アルバムやらプリクラ帳やらを、
根こそぎ、棄ててしまいました。
「大切な思い出なのに、良いのか?」と問うと、
「どーせ見ないから」と、空笑いしていました。
また、
写メがパソコンの中にたくさんあるから、それで充分なようです。
確かに、
パソコン文化が定着したことで、
不要になってしまった物が、随分とある気がします。
娘たちは、
音楽CDも、ほとんど手放してしまいました。
音源データだけは、パソコンに取り込んであります。
これについてもまた、
「一度パソコンに取り込んじゃったら、
CDをわざわざ棚から取り出すのは、面倒以外の何物でも無い」
と豪語します。
女の子たちは、
物的な風情や証拠に、強いこだわりを見せる傾向にありますが、
一体、うちの娘たちは、
肉体の性別を、間違えて生まれてきたのでしょうか…
普通に、男の子に恋をするジェンダーでは、あるようですけれども。
また、
「MP3形式に圧縮してしまうと、音質が落ちるぞ?」
といったことも念押ししたのですが、三女・絵里香は、
「実験してみたけど、
192kbps以上なら、全く支障は無かった!」
と言ってのけました。…更に、
「音質を気にするなら、
そもそもCDの時点で、不満が大アリだ!」
と言うのです!
娘たちには、レコードの音を少々聴かせはしましたが、
かと言って、現代ポップスにはレコード盤などほとんど存在せず、
一体どこで聴き比べ、耳を肥やしてきたのか、
私には、不思議でなりませんでした。
近頃の子どもたちは、
明らかに、
私の世代とは違う五感を持っています。
まるで、違う生き物であるかのようです!
特に音楽や絵画の英才教育を受けたわけでは無くても、
優れた聴覚や美的センス、手先の器用さを持っています。
この勢いだと、
プロの芸術家など、不要な時代がやってきそうな気さえ、してしまいます。
『リストラ後の7回裏で…』



