エピソード13 『星空のハンモック』
- 2023年3月20日
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エピソード13
夜半すぎ。
まだまだ冷たい風が吹いていて、冷え込みはさらに厳しくなっていた。
「そろそろ眠い?」カツミくんは私に尋ねる。
「うーん?わかんない。」実際、神経がマヒしていてよくわからない。
カツミくんはまた、リュックをごそごそと漁る。ドラえもんみたいだ。
彼は丸まった寝袋を取りだすと、それを広げて私に差し出すのだった。
「はい。これ、かぶりな?暖かくすれば眠りやすいと思うよ。」
「いいの?」
「いいんだってば。」
私はまたお言葉に甘えて、寝袋を借り、それにくるまる。
「あったかい。」実際、ずいぶん暖かい!
私は横になると、自然と視線が空へと向かう。
風が強いぶん雲など吹き飛んでいて、今夜もまた、星空が美しくまたたいている。
誰もいない無人島で、岩場と海を背景に、星たちがムードショーを上演している。
私はやがて、眠りに落ちる。
数時間経っただろうか。まだまだ暗い。
「うー」とか「はー」とかいう声を耳にして、私はふと、目が覚める。
横を見て、ハっとする。
カツミくんは一人、ぶるぶると震えながら、寝袋も無しに夜風に耐え忍んでいたのだ!
私はまた、罪悪感でいっぱいになってしまった。
さっきから足を引っ張ってばかりだ。困らせてばかりだ。
どうしたらいい?どうしたら彼を助けられる!?
答えは、1つしか思いうかばなかった。
「カツミくん。」私は彼に声をかける。
彼は少し遅れて、ハっと我にかえって首をこちらに向ける。
「どうした?まだ寒い?」
彼はこの期におよんで、まだ私のほうの心配をしている。
私は、2回ほどためらって、ようやく思い切って口を開く。
「来て。」
「え?」
「寝袋、一緒に入ろう?」
「いや、それはまずいよ!」
「大丈夫。一緒に入ろう?お願いします。」
「入れてあげるよ」じゃなくて「お願いします」と言わないと、
この人は入ってきてくれてくれないだろう。
「いいの?でも、二人も入れるかな…」
戸惑いながらも、彼は寝袋の中に入ってきてくれた。
「カラダ、冷たいね!」私は彼の体の冷えきり具合に驚く。
「ごめん!冷やしちゃったよね!」
「ううん。いいの。私のほうこそごめんなさいだから。」
彼はドギマギして、顔を向こうに向けて横向きになる。
私は、彼の背中からハグするように抱きしめる。暖めてあげなければ。
そして、最初は冷たくてもすぐ暖かくなり、一人のときよりももっと暖かくなることを、
私はメグちゃんとの出会いから、体験的に知っていた。
案の定、10分もすればとても暖かくなった。
でも、カツミくんは落ち着かない。
「ごめん。やっぱりダメだよ。」
「どうして?暖かくなってきてない?」
「暖かいはすごく暖かいんだけど…
その…密着されると…
その…したくなってきちゃうから…」
「いいよ。しよ?」
「え?」
「しよ?」
『星空のハンモック』



