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エピソード13 『沖縄クロスロード』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月14日
  • 読了時間: 3分

エピソード13

ユカたちは、ケーキセットをオーダーすると、

急いでそれをたいらげた。

もちろん、結び宿とやらに向かうためだ。


大通りまで戻ると、バスに乗り、

そこからまずは、名護という中部の街を目指した。

2時間くらい、バスに揺られていたかしら。

マリは、朱屋根の古民家を見つけるたびに小躍りし、

ヒヨリは、停留所に停まるたびに、うたたねから目を覚ました。


名護には、大きなバスターミナルがある。

ここで、北部方面のバスに乗り換えるのだ。

でもその前に、近くの安食堂で、お昼ご飯を食べることにする。



地元サラリーマン向けという感じのお店なので、

とても安い値段で沖縄そうざいが食べられた。


ユカは、ちゃんぷるーという食べ物が好きだ。そしてゴーヤはニガテ。

けれど、この店のちゃんぷるーはゴーヤちゃんぷるーしか無かった。

ユカは思い切って、菜食客のマネをしてみた。

「おばちゃん。ゴーヤちゃんぷるー、ゴーヤ抜きでくれますか?」


レジを打ってたたおばちゃんは、ユカのイレギュラーなオーダーを受けると、

自分で厨房に入っていった。そしてなにやらチャッチャと炒めてくれている。

5分待って出てきたのは、「ふ」のちゃんぷるーだった!

沖縄の安食堂のおばちゃんは、ゴーヤを抜く代わりに、「ふ」を入れてくれたのだ!

効率が命の安食堂なのに、ユカのためにこんな配慮をしてくれた!!

おばちゃん、研修時給でいいの??


マリは、島豆腐ばっかり食べていた。

マリは豚肉が苦手なのだけど、沖縄は豚肉ばかりだから、

「豆腐でたんぱく質とるしかないわ」と嘆いていた。


ヒヨリは、海ぶどうばっかり食べていた。

「珍しくて美味しいから食べてごらん」とマリがヒヨリに薦めたのだが、

マリの真意は、ヒヨリのミネラル補給・ナトリウム補給にあったらしい。

マリはお母さんみたいだ。



名護から西部行きのバスに乗り、今帰仁を目指す。

修学旅行のときは、こんなに北のほうまでは足を伸ばさなかった。

あのときは、県道沿いと観光地しか見れなかった気がする。

いくつもの住宅街をすり抜けて、ようやく、等身大な沖縄の姿が見えてきた。

良くも悪くも、案外、本州と変わらない気がした。

亀戸よりは田舎だけど、栃木のおばあちゃん家よりは都会かもしれない。


読めない地名のバス停をいくつも通り過ぎ、

ようやくバスは、今帰仁に入った。

さて困った!どこで降りればいんだろう?

今帰仁「村」というからには、とても狭い地域なのかと思ってたんだけど、

「今帰仁」を冠する停留所が、いくつもある。

かといって、「結び宿前」などという停留所が、都合よくあったりはしない。

そうだ。「わかりにくい場所にある」って、おばさんが言ってたっけ。


どうしよう!?

モタモタしてると今帰仁を通り過ぎてしまう!

ダメ元で、運転手さんに尋ねてみることにした。

「結び宿って宿、知っていますか?」

「わっからんなぁ。今帰仁にあるんか?」

「そのはずなんですが…」

「役場で訊くしかあんめぇ。今帰仁村役場。」

「それ、どこにあるんですか!?」

「通り過ぎたわ!」


運転手さんは、ユカたちの事情を配慮し、

停留所でもないところで降ろしてくれた。

バスは30分に1本しか来ないから、手前のバス停まで歩いて戻っても、

充分に間に合うだろうとのことだった。

亀戸のバスは、停留所以外の場所で降ろしてくれたりはしない。

お客が困っていたって、停留所以外で停まるとチーフに怒られる。

カッチリ停留所でだけ停まるなら、200円多くお給料もらえる。


『沖縄クロスロード』

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