エピソード14 『「おとぎの国」の歩き方』
- ・
- 2023年3月5日
- 読了時間: 2分
「ダライラマが!?この村に居るの!?」
ダライラマって知ってる?チベットの王様みたいな人だよ。
政祭一致って言うの?王様であり、坊さんなんだ。よく知らないけどね。
継承制度で名前を継いでて、今は14世くらいじゃなかったかな。
「ご本人が居るわけなかろう。おっほほ!
おぬし、この村のストゥーパ、見たじゃろ?
あれは、昔から、代々のダライラマ様を奉っておる。
ストゥーパの下に雨よけがあるに。旅人は、そこで雨をしのぐ。
ダライラマ様からのご命令じゃ。」
「何それ!?善意なの?いやがらせじゃないの?」
「ご好意よ。おっほほ!
龍の国じゃからな。おっほほ!」
「まぁいいけどさ。
ちぇっ。寝袋持ってくるんだったなぁ。」
別にいいんだよ。野宿だってさ。
あんまり野宿慣れしてないけど、たまにはいいさ。
婆ちゃんは、話を終えると再びしゃがみこみ、
何かぶつぶつと言いながら、土いじりをしていた。
僕は、ひととおり集落を巡ってみた。
といっても、家なんか4軒しかない。村とも言えないよ。
ストゥーパも見て、雨くらいはしのげそうなことを確認すると、
婆ちゃんのところに戻ってきて、草ぬきを手伝った。
他に何も、することがないからさ。
「おぬし、土いじり、好きなんか?」
「いや?別に。」
「人助けが、好きなんか?」
「いや、別に。
他に何も、することないからさ、
何もなきゃ、土いじりもするよ。」
「そうじゃ。そのとおりよ。おっほほ!」
山地は、日が暮れるのが早い。
夕暮れと同時に婆ちゃんは帰っていき、
僕はストゥーパの下に座り込んだ。
夜冷えに備えて、持っている服を全部着込んだ。靴下も3枚はいた。
夜半になると、
さっきの婆ちゃんがご飯を持ってきてくれた!
「泊めないとは言ったが、メシをやらんとは言っとらん。おっほほ!」
何なんだ?この婆ちゃんは。
真夜中。
寒さにおびえる僕に、思いがけない助っ人が現れた。
さっきの…ば
婆ちゃん、じゃなくて、番猫だった!
さっきの白い番猫は、
何も言わずに僕のもとにやってきて、
僕にピタっとくっついて、そのまま丸くなった。
「…暖めてくれてんの…!?」
そうであるらしかった!!
『「おとぎの国」の歩き方』



