エピソード15 『リストラ後の7回裏で…』
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- 2023年3月26日
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エピソード15
妻・翔子の手作り熱は、
ログハウスに暮らしはじめてから、更に加熱しました。
庭に緑地が増えたため、
まずは、野菜やハーブの自家栽培が始まりました。
…かと言って、
ほとんど農作物の世話をしないのです!
私は、ログハウス造り同様、
私の担当にさせられてしまうのかと、思いました。
しかし、
妻・翔子は、面白いことを言うのです!
「『自然農』にチャレンジしているのよ♪」
「自然農とは、どういうものなんだい?」
私は、説明を求めました。
「別名、『ほったらかし農法』なんて、呼ばれてるのよ(笑)
なるべく人の手を掛けずに、
大自然の持つ力を活用して、
大自然の摂理に逆らわずに、農業するの。
だから、害虫駆除なんかも、しないのよ?
害虫が食べちゃった分は、
『害虫ちゃんの分け前だった』って、捉えるの。
最初の数年は、
思うように作物は実らないらしいんだけど、
植えて、伸びて、枯れて、土に還って…
っていう循環を数年繰り返していると、だんだん土が肥えてきて、
ほったらかしのまんまでも、
実の詰まった作物が、育つようになるらしいわ♪」
妻・翔子は、そう言うと、
私に自然農の本を手渡してくれました。
私はその晩、早速読み耽りましたが、
確かに、妻・翔子が言う通りのことが、書かれているのでした。
そして、
最後まで読まずとも、
「確かに、大自然の循環摂理といったものを考えたとき、
人の手を掛け過ぎる、現行の農業は、
矛盾とエゴと、非・効率性に満ちている」
と、悟りました。
私は、
この本とこの概念を教えてくれたことを、
妻・翔子に、痛く感謝しました。もちろん、口頭で伝えました。
頭も下げたくらいです!
なにしろ、
「自然の摂理に則して生きる」
という概念は、
農業のみならず、様々なことに、応用が出来そうでした。
妻・翔子は、
野菜の苗については「ほったらかし」を貫きましたが、
ハーブに関しては、もう少し、過保護にしていました。
春になると、
ログハウスの周りは、芳しい香りに包まれました。
1ヶ月ごとくらいに、香りが移り変わっていきました。
最盛期を迎えるハーブが、移り変わるからです。
私は、日々、夢心地でした。
天然の香りに包まれることが、これほど癒されるとは、恐れ入りました!
仕事を辞めて、
タバコの煙から離れたことによって、
私の味覚・嗅覚は、敏感に、繊細になったようです。
また、
雑木林が放つ、土臭さや樹の香りも、心地良いものでした。
それは、私を童心に帰らせてくれるものでした。
加えて、貧乏放浪していた東南アジアを、思い出させました。
『リストラ後の7回裏で…』



