エピソード15 『沈黙のレジスタンス』
やがて、
この村に、ヒロト監督の一行が、発掘調査をしに来てくれた。
彼は自ら、このプロジェクトの責任者に名乗り出てくれたのだ。
「万が一ムダ骨に終わるなら、スタッフの賃金は私が請け負う」
彼はそこまで言ってくれた。
専門家が調査発掘に当たり、
またたく間に地下4階は発見された!
5階が発見され6階が発見され、8階まで発見された。
住人たちの残した文書が見つかり、
生活の様子や迫害の事実が、浮き彫りにされた。
さらに、この地にはほかにも地下都市があることも、わかった。
また、
ラーマ法王の一派に一矢報いることにも、成功した。
告発はとてもリスキーな行為だが、
ヒロト監督は断固胸を張って、それをやってのけた。
ラーマ帝国とラーマ法王は、
弾圧と迫害の悪事を暴かれ、著しく評判を下げた。
伝説の地下都市発見に伴い、
ガットキアは、一大観光地に躍り出た。
もともと、キノコ岩という奇景を持つ土地であったゆえ、
周知さえされれば、人気を集めることはたやすかった。
村の男たちは、地下都市の調査発掘の仕事が与えられた。
積年の夢は叶い、
故郷を離れることなく、子供時代と同じように、穴掘りをしていられるようになった。
またはホテルやレストランを経営し、観光業者として生業を立てた。
映画監督が幾人もやってきて、この地で映画を作っていった。
僕は、地下都市の観光ガイドをすることになった。
デニーも誘ったが、彼はそれには応じなかった。
「オレは接客なんかできないよ」と言っていた。
観光ガイドがだめでも、仕事は見つけられたはずだが、
デニーはやはり、村には戻ってこなかった。
「オレは外の世界が見たいんだ。昔からそう言ってたろ?」
全ては、丸く収まったのだ。
2016/01/26 完筆
この物語はフィクションです。
しかし、トルコのカッパドキアには、
実際に、奇岩地帯や地下都市遺跡が存在しています。
『沈黙のレジスタンス』



